常世田健人

　ファンクラブに初めて入ったのは、日向坂46というアイドルグループだった。 　ライブに行くことが好きだったのだが、これまでファンクラブに入ったことは無かった。ファンクラブに入らず…

　アイドルという話題になると、真っ先に思い出すのは――乃木坂46を布教してくれた大学時代の友人O君の存在だ。 ――元々アイドルには興味が無かった。 　妹がアイドル好きで、アイドル…

仮面を着けられたら終わり―― その噂だけが、独り歩きしている。

「勇者の剣を見に行く旅行に出かけるぞ！」 「いやいやいやいや！　僕、受験生なんだけど！」 　兄から唐突にこう言われ連れ出された時はどうしたものかと思った。 　——口車に乗って一度…

推しは推せるときに推せと、良くいうけれど…いうけれど…泣

　高校一年生黒谷九郎(くろたに　くろう)はある日、幼馴染の君川喜美(きみかわ　きみ)と共に、河原の水を操る女性の姿を見た。柳水色(やなぎ　みずいろ)という高校二年生である。水色の…

「店長すみません、明日の夕方シフトって入ること出来ますか？」 　このセリフを言った後の展開は、決まっている。 　店長は考える素振りも見せずに、こう言った。 「本当かい？　ちょうど…

「生徒会長として、僕は何が優れていると思う！」 　夕暮れの陽を浴びながら、生徒会長は突然発言しました。 　生徒会室にて座っていた『椅子』から立ち上がり、『私』に近づいてきます。 …

　その声を聞いた瞬間、感動がこの身を包みました。 　そこそこの人数が一階に降りようとしている中で――ベビーカーを手にもつ女性が階段の前で立ち止まっていました。 　エスカレーターを…

　美容院という場所ほど、話すことしかない場所はないと思う。 「いやー、クリスマスイブなんてやることないよねー」 「私は仕事していますけどね」 「それは本当に申し訳ない！」 　今日…

太陽が常時昇る『表の世界』。 それとは別に、常時太陽が昇らない『裏の世界』があるらしい。 二つの世界はほとんど交わることはないけれど、唯一、突如出現する扉で交わってしまう。

「嬉しい。私からも、よろしくお願いします」 　後に彼女となる女性から、頬を朱く染めながら言われるこの一言は、全人類にとって至高の時間と定義しても良いだろう。 　彼女は俺の好みドン…

　人生に劇的な出来事なんて無いと確信したのは――二十九歳の誕生日に、約七年付き合った彼氏に別れを告げられた時だった。 「ごめん、他に好きな人が出来た」 　その時の彼（現在は元彼）…

「何でこんな日に限って有給とっちまったんだろうな！」 　朝八時に会社のパソコンに向かい合いながら自宅で激昂した。 　十二月下旬という年度末に差し掛かる忙しい時期――月曜日に有給を…

　好きだったアイドルがグループ卒業と結婚を同時に発表した。 「何で同時に！」 　そのニュースを知った僕の第一声はこれだった。ファミレスにて友人が目の前に居る状況で大声を出してしま…

　十二月二十四日と十二月二十五日に何も予定がない。 　世間はそんな人物のことを『クリぼっち』とポップに称しているが、実際にこの状態に居る人物にとっては蔑称でしかなかった。 　御年…

　今日は10月31日！ 　何の日か、皆知ってるだろ？ 　そう、ハロウィンだ！ 　ぼくの名前はゆうき！　小学三年生！ 　この日が来るのをずっと待っていたんだ。色んな家のチャイムを鳴…

『――今度は、女が決める番―― 　バチェ●レッテ・ジャパニーズハイスクールへようこそ。 　一人の女子高生の真実の愛を求める冒険の旅が、本日、この日本の高等学校で始まります。 　そ…

「突撃！　隣の夜御飯ー！」 　午後九時に、突然その女性はやってきた。今の発言内容と同じ文字がでかでかと書かれたプラカードを両手で持っており、何かが入ったビニール袋を右手で挟んでい…

　突然だが今、僕の視界には幽霊が存在している。 　少し肌寒くなってきた夜更けの通学路に、唐突に現れた。 　生まれてこの方幽霊なんて存在を目の当たりにしたことはなかったけれど、宙に…

　タイムマシンという代物に特別な魅力を感じてしまうのは何歳になっても同じだろう。 　手紙を埋めれば子どもの頃の思いを成人になってから手に取って読むことが出来る。 おもちゃを埋めれ…

同棲中の彼女が生ハム原木を突然購入した。

クリスマスイブ、私は一人だった。目下やることは、クリスマスイブに仕事をしている人が何人いるか計測することだった。

旅人は一人、砂漠を彷徨っていた。

舞台は『危険予知が放送される街』。街中で危険予知が放送されるのはランダムのはずなのに、時任百合の周囲では1日に１度、必ず放送されていた。僕はそんな彼女を、絶対に救ってみせる。

本作品は二つの章から成り立っています。 どちらから読んでも大丈夫な仕様になっていますので、読者様方の興味関心に合わせて読み始めていただけますと幸いです。 ・2016年4月27日…

　唐草史郎。堂上高校二年生。勉強とスポーツは中の上。極度の無口故、友達がいない。趣味は読書。好きな食べ物はハンバーグで、嫌いな食べ物はゴーヤチャンプルー。――所持している能力は、…

舞台は『ヒーローがいるのに平和な街』。 昔、ヒーローに命を助けられ、様々な人物と積極的に関わろうとする主人公――刀銃。 復讐を誓い、ヒーローがいるのに平和な街に入り込んだ指名…