• 異世界ファンタジー
  • 現代ドラマ

ドンキ 【疑う勇者】

イサムは定位置で朝食をとっていた。
お茶を持ってきてくれたメフィが、脇に剣を抱えている。

「なにそれ?」イサム
「いえね、これ、ダンジョンの宝箱から出た剣で、、、、」
ほう、得た者が手放した?

「なんか、柄を握ろうとすると、、逃げるんです」
「・・おまえも試したの?」
メフィ、茶をテーブルに置いて、右手を剣の柄に触ろうと
しゅるん!!ずざざざざぁああああああ!!
・・・・・(目が点イサム)

「こーんな感じ?」メフィ
・・・・・「今、あるかなかtいや、走らなかった?」
足こそ見えなかったが、もろ人間が偉い勢いで後ずさりする感じだった。

「しかも、にゅるん、ってとき、ぐねってなかった?」
「ええ、普段は硬いんですけどね」
で、
俺もやってみようと、壁際に逃げた剣の鞘を持っててーぶるんに戻ってからやってみた。
さっきのメフィのように脇に抱えてやったら、ニュルンがこそばゆくてきもかった。勿論壁際まで逃げられた。

「・・・なるほど、で、ウチで買い取った?」
「いえ、そう面白くないんで買い取るほどではないのですよ。なので委託販売ですねー」

買い取り基準はおもしろいかおもしろくないかだそうです

「翔太とかゴッツに触らせてみれば?」
「だめでしたねー、朝一番で行ってきたんですけど」
寝込み襲いですか、近隣に住んでる弊害ですな、めったにないけどw

「いえ、面白がってましたよ?何度も何度もやって、剣がへばるまで翔太とゴッツが交代でやってましたよ?」
「・・・・・やつら、いつからそこまで、、、。まぁいいや、で、そんなに遠くに逃げないんだ?」
「ええ、今見た距離程度みたいですね」
ふむ、、、

「ああ、マッシム、カッシム、タカシ、魔王さま、西の王様、ギルダー、あたる、おかん、など呼び出してやってみましたが、全滅」
よびだし・・・
まてよ?

「なにか?サクラとアラタだけ残して?」
「あ!忘れてましたっ!!!」
主婦がするような手を口に当てるポーズをとってわざとらしいメフィ

俺がサクラを大の苦手としているからだ。
俺の反応を楽しむつもりだろう。


「よう、来たぞ。ろくでもない急用だと?」
ずざざざざぁーーーーーっつ!!
俺は宿の壁に阻まれ、ソレ以上後ずさりはできなかった。

こめかみに青筋をいくつか立ててるサクラ。
どうどう、といいながらサクラをなだめるアラタが
「メフィさん、なんかおもしろい剣を発掘したとか?」

「こr,、あの壁際、主様の横の壁に張り付いて立ってる剣です。持ってきてもらえます?」メ
と、
とことことこ、ひょい、とことことこ
ほう、これが、とか言いながら柄を握り、具合を確かめるアラタ

「「まっちょ好み??」」イサム、メフィ
アラタは相変わらず体を、というか筋肉を鍛えているようだ、前回遭った時より筋肉量が幾分増えているようにも思える。

「・・アラタ、抜けたら、おまえにやるわ、その剣」イサム
こくこく頷くメフィ。なにかおもしろ化学反応、つまり、変態じみた剣×筋肉変態になりつつある勇者、に期待したのだろう。

しゅらん!
ぶん!ぶん!ぶん!!
「いい感じですね!バランスもいいし、なにより握ってすごくしっくりきます!!」アラタ

((変態に見込まれた・・・))イサム、メフィ

「多分、魔力載せたらもっといい感じになんかできるんじゃないですかね?」メフィ
「ほう、では私が」サクラ

アラタがサクラに剣を渡そうとしたr
ずざざざざぁーーーーーっつ!!
剣は宿の開けっ放しの扉から外に後ずざりしていってしまった。

「・・・サクラ、、」
「サクラさんですね」メフィ
「・・サクラ?」アラタ

「主様にさえなつかなかった剣なのに・・・」メフィ
「「え!!」」アラタ、サクラ
「うん、俺も逃げられた」
「でも、主様は壁際まででしたね、さすがに外に逃げはしなかったですよ?」
メフィ、ぶっさす!!

「もったいねーな、多分勇者の剣でも特殊だぞアレ」俺
「ですよねぇ、勇者タカシ、元勇者イサム、の2人も駄目でしたからね」メフィ

「「あーあ!!」」メフィ、イサム

顔中から汗たらしまくるサクラ

「・・・いいよ、剣ひとつくらい。サクラ、気にしないでね?」アラタ
余計心にぐざっとくるサクラ

シュン!!
サクラ、転移で高空に出てサーチで剣を探す。同時に
「騎士隊!今すぐ我もとに来い!!」
と、念話で草履王城騎士部隊を呼ぶ。


「・・・どうよ?」俺
「難しそうですね?さすが宝箱に入ってただけあってか、ほとんど感じませんねぇ」メ
「うん、かすかに、だよなー」
「ぼくはまったく?」
アラタは魔力が弱いので、そういうのは苦手。

「捕まえられるかな?」
「どうでしょうかねぇ?」メ
「いいのに・・・」アラタ

その日はサクラは戻ってこなかった。アラタは草履の城に転移で戻っていった。

どうなったか?
メフィもイサムもあえて遠見や聞き耳を使って草履やサクラを見ようとしなかった。
なので不明。


ーー

朝食後の茶をメフィが持ってきてくれたとき
「あのさ、あのアラタの剣、委託販売した形になるだろ?払った?」
「ええ、標準的勇者の剣の代金?くらいで。喜んでましたよ。」
ならいいか・・・
つか、標準ってなんだよ、、

「あ、あの剣さ、切れ味よさそうだったか?」
なんかそのへんが気になった。
アラタが抜いた時にしか見なかったが、刃が・・・

「あ、そうですね。私も思いました。厚みはけっこうあるぽっちゃりタイプなのに、刃が丸い?、安全嗜好なんですかね?」メ
「・・・なぜ筋肉を求めたのか、わかる気がする、、」俺
「ははぁ、形が剣だった、ということなだけで、本来は鉄パイプとか、金属バットとかなんですかね」メ
「つぼ、とかな」俺
あーっはっはっは!

今日も魔物の森の宿の食堂は平和である。

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する