長くなりそうなので前と分割しました。恐竜好きかつ、高校か大学で生物やってないとたぶんわからない。生物基礎だと無理。
オルニトスケリダ説についての話。今後主流になっていくと考えられる恐竜の分類です。
この解説の前に従来の恐竜の分類について。
今まで恐竜は骨盤の形によって、鳥盤目と竜盤目に大きく分けられてきました。
鳥盤目にはトリケラトプスといった角竜、パキケファロサウルスといった堅頭竜、アンキロサウルスといった曲竜、ステゴサウルスといった剣竜、イグアノドンといった鳥脚類がいます。
竜盤目には鳥類やティラノサウルスを含む構成される獣脚類と、アパトサウルスやディプロドクスを含む竜脚形類がいます。
でもこの分類って生物学の分類法すら確立される前のものなんですよね。分類に従えば恐竜は三畳紀時点で鳥盤目と竜盤目に分かれ、それぞれで繁栄した、となります。
しかしそんな証拠はどこにもないんです。竜盤目にまとめるなら獣脚類と竜脚形類の共通祖先はどこにいるんだよという話です。あんな似ても似つかない連中の共通祖先とはとても興味深い……見つかっていません。
そこでオルニトスケリダ説です。2017年に発表された比較的新しい仮説ですが、従来の分類法に疑問を持った古生物学者たちが多くの恐竜を分析して立てたものです。
非常に大雑把に言えば、竜盤目から獣脚類を外し、鳥盤目と合流、オルニトスケリダというクレードを作ったのです。
ティラノサウルスはアパトサウルスよりもトリケラトプスに近縁なんですね。
鳥盤目の骨盤は、竜盤目とオルニトスケリダが分かれた後に獲得したものなのでしょう。現生の鳥類やテリジノサウルスも骨盤の形は他の獣脚類たちとは異なりますから不自然ではありません。
これで恐竜は獣脚類を外した竜盤目とオルニトスケリダに二分されます。
これの有効性は専門家ではないので何とも言えませんが、最近の知見で出された仮説ならば古い分類法よりは遙かに科学的だと思います。
素人の感覚でもアロサウルスが鳥脚類たちよりもブラキオサウルスに近縁って変な感じしますし。ジュラ紀と三畳紀では長い期間があるにしてもあんたら変わりすぎ。
個人的には非常に推している仮説ですし、学会でも広く認められ始めているのですが、従来の分類と大きく異なるので、恐竜図鑑がこの説を採用するのは最悪五十年後になるかもしれません。
生物の系統分類法に従えば恐竜から進化した鳥類は爬虫類に含まれるべきなのに未だに教科書では鳥類は爬虫類から独立しているかのように書かれていますしね。
これに関しては爬虫類というクレードが広すぎるせいもありますが。トカゲや蛇よりも鳥の方がワニと近縁なんですよって言われたら違和感があるのも理解できます。でも生物学の系統分類ではそうなります。