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ああ、いつものっス。

多くのみなさまが寝静まって、きっと素敵な夢などみているころではないかと想像してみる月曜深夜、いや朝4時の卯月です(気分だけは囁き声)。

日曜日に投稿いたしました拙作『夏に置いてきた写真』もたくさんの方にお読みいただき、いつものことながら感謝であります。

もう、前にやっていたような解説は恥ずかしいので書くことはないのですけど、せっかくなのでちょっとだけ。あの第57回「2000文字以内でお題に挑戦!」企画にこれから参加される方もいらっしゃるかもしれないので。考えてみたことを。

お題の『夏に置いてきた写真』ですけど、雰囲気があってよいですね。最近は夏の暑さを思い知らされていますし『夏』というワードからは何でも書けそうな気もします。

そして『写真』。写真はだれもが知るあの写真ですけど、昔とは随分ありようが変わってしまったなって。現在の写真の居場所はスマホやPCなどのデジタルデバイスの中でしょうか。印刷されたモノとしての写真ならいまは一枚一枚アルバムになんてことはなく、フォトブックのような写真集形式できれいに印刷、製本されたものに。

『写真』の定義があやしくなってきた卯月は検索した結果ステキなサイトを発見しました。

Photo & Culture, Tokyo
https://photoandculture-tokyo.com/

そこに有名な写真家さんたちのコラムもありましてそれが読み物としても素晴らしい(写真家としても有名な、なぎら健壱さんのコラムもありました)。

その中の上野修さん(日本写真協会学芸賞を受賞されてる方)の『考へるピント』というコラム(現在42編)に、まさに欲しかった写真についての考察がずらりとならんでいました。特に「1978年のポスト・モダン」というコラムのなかに登場する「ポスト・モダン的にいえば、ここではシニフィアンが浮遊している」というカッコいいフレーズ。シニフィアンやシニフィエって単語は哲学や芸術論など小難しい内容の文章でよく見かけますが、コラムの中でこうさりげなく使われるとシビレます。文章のお勉強にもなります。

浮遊するシニフィアン、超越論的シニフィアン、シニフィアンの戯れ、とか。言葉の響きが気に入った方はぜひ、あの難解なことで有名な『ジャック・ラカン』の世界へ。

ええ、卯月が『ラカン』ネタを使うこと決めたのはここです。シニフィアンでなく『対象a』となったのは卯月の理解が追いつかず、このままでは数行のセリフのために何ヶ月も勉強に費やすのを避けるため(過去、何度も『ラカン』に挫折していまつ。あの三冊の本もリアル)。『対象a』ならまだ、カクヨムにもいるかもしれない哲学ニキたちにボコボコにされずにスルーしてもらえるかと判断しました。昔の2ちゃんとか確かそんな感じだったかと(『ラカン』に触れるなんてそんな恐ろしいこと)。

たぶんせーふだと思うことにして。

あと問題は『置いてきた』という『写真』を修飾するパーツの解釈です。どこに置いてきたのかと言えば『夏に』です。写真は「夏という場所?」に置かれている。

比喩的なやつ、カッコよく言うとメタファーってやつですかね。

この部分の解釈がこのお題の小説の方向性を決定づけます。まず『写真』というものの自分なりの定義が必要(さきほど紹介したコラムではその境界線の話が出てきます)。卯月は昔を懐かしむ方向でしたので紙の写真と紙の哲学書の相性が良かったですね。

『夏に』『置いてきた』は、やはりふつうに考えれば過去へと思いが向かいそうです。KACとかだと似たような内容の短編の中に埋もれてしまうコワイ状況。あとはSF枠でみんな過去に行っちゃいますかね。卯月は一応、タイムカプセルを掘り出したらその中に写真が……みたいなのが最初に浮かびましたが、だいたい第一案はよっぽどのことがない限り被ります。

被りたくない時の一番の方法は、多くなりそうな典型的な筋(一番被るヤツ)を考えてそれを部分的に大きくズラすのが手ですかね。卯月の『ラカン』ネタはまず2000文字しかない短編に放り込もうなんて本来なら自分でも考えませんからね。過去の恋愛を忘れられずにウジウジと悩む男の話なんてありがちすぎるし、誰も読まない。ですから、遠い過去のできごとにして切り離してみたり、難解な哲学の言葉や考え方で特殊な雰囲気に仕立て上げる(これはよくある)。

あとは最後しんみりと終わるよりも(その方向のものが多いだろうと)ハッピーな方向で。これを読者さまに丸投げしておしまい。これは制限字数ギリギリまで攻めているからおそらく許されることだと思います。まあ、よくある展開が想像できるような仕掛けは施していますから、読解力のある卯月の読者さまであるなら問題ないだろうということもありましたけどね。

この読解力問題でできることは、どこまでも平易にわかりやすく書くってことなのでしょうけどそれには限界がありますし。あと卯月は作品において不必要な表現や文、意図しない繰り返しなんかはどんどん削りたいのです。読むこと中心だった頃からそうなのですけど、その文(言葉)がその場所に存在する意図がまったく分からないということがあった場合(もちろん最大限書き手の意図は想像しますけど)、続けて読む気力が大きく失われてしまいます。これは読むにしても書くにしても好みの問題(谷崎も書いてましたかね)ですから仕方がない。万人受けする文章は無理ですし目指さない。

まあ、何にせよ2000文字以内です。長編連載だと一話2千、3千文字が読みやすいと言われますけど、それに足りないくらいの文字数です。新しい一週間のはじまる月曜日ですが余裕がある方は、クロノヒョウさまの企画に限らず、面白そうだと思ったものに参戦してみましょう。

でも、長編抱えている方はそちらが優先です。そうしないと卯月のように新作長編がいまだ第四話までしか書けておらず、なかなか投稿できないという事態になりかねません。ああ……。

そういうことで、ではまた。







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