~作中の伝承~
【世界創世の物語】
◇はじまりの白◇
この地に降り立った一族の長はこの地の若者と恋に落ち、天には戻らず、この森に根を下ろしこの森の王となった。
◇世界の広がりの黄◇
長は秩序を重んじ、周辺の種族を統べていく。夫となった若者は長と共に森の周辺を旅し、そこに住む様々な種族に平和と共存を訴える。
◇世界の統一の赤◇
森を中心とした各種族間連合が成立し、天から降り立った長は王となる。王は天の力を使い森を育て、周辺の種族も天からの力の恩恵を享受し発展していく。
◇世界の深淵の黒◇
森周辺の種族の中に王に従わない者が現れる。長が
降り立つ前の混沌こそがこの世界だと信じる者たちだった。その闇は王の光の中に溶け込みなくなったように見える。
◇世界の繋がりの青◇
川や空、この森の全てを繋ぐ水の流れは王の力をこの世界、ムーンフォレストに行き渡らせる。
【わらべうた】
なにもない世界に、白がおちた。
はじまりの白
目がさめる黄は、古きよき友人まねいた
赤は、心の臓の音。
生きるものたちの希望をせおってる
黒は月のうらがわの影の色。
うつくしさに吸い寄せられる
青はなんにでもなれる、
なんでもうつす水の色
かきまぜましょう かきまぜましょう
五つがまざれば 何色になる?
【伝承】
はじめに混沌ありけり。
月の雫が落ちて、混沌に光生まれたり。
混沌は生命の源。影は光。両者は同じものなり。
光は色をつくり出せり。
月の雫は白くまばゆい月長石―ムーンストーン―となりて
森―ムーンフォレスト―の礎となりぬ。
そは、はじまりの白とぞなりにける。
白から、黄が生まれ赤が生まれ黒が生まれ、青が生まれたり。
白の一族は、森ムーンフォレストの王となりて、その後番人とぞなる。
森―ムーンフォレスト―の主は各々の国の王族から森―ムーンフォレスト―が選びしものを。
始まりの白、広がりの黄、統一の赤、深淵の黒、繫がりの青。
異なる種が重なり合うことで、美しき光、何色にも見える光が生まれ出づることを識しれるためなり。
はじまりの白、目がさめる黄、希望の赤、月のうらがわの影の色の黒、なんにでもなれる水の青。
五つが混ざり合い溶け合い、手を取り合えば、大地を潤し緑を萌えさす愛めぐみの光もたらされん──