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今は遥けき彼方の心臓

あまり小説のことを語ったりはしないのですが、今回は少しだけ。

『春告花は咲く』を書き直しながら、結局篠目秋則という人は何を思って死んでいったのかなと考えたものです。
その結果書き上がったのが、これでした。なので『春告花は咲く』にお付き合いをいただいていない方には最後の方が何のことだという状態になったかもしれないと反省をしながら。

必要がないので書いていないのですが、なかなかの人生を歩んできた人です。むしろよくもまあ普通に生きているよなこの人と、千崎は思っております。
篠目先生が経験したことは実話ではないですが、かといって教え子を見送ったことがないかと問われれば、ないと言うのは嘘になります。
実際に見送ったわけではありません。ご両親から聞いたわけでもありません。人伝に聞いただけの話です。
それでも、ひとりになった時に泣きました。

だからこそ作中でも書いておりますが、私は『巌頭之感』を見ると思うところがあるのです。
実際に彼が何を思ったのかは分かるはずがありませんし、夏目漱石がそれで何を思ったのかなど、彼の小説から推し量るくらいしかできないのです。それでも夏目漱石は『吾輩は猫である』で触れ、『草枕』でも触れ、何も思わなかったわけがないのです。

そんなことを考えながら、篠目秋則という人間を深く掘り下げていたのでした。
春告花は咲くの書き直しが終わって公募に出す目処が立ったら、こちらも閉じると思います。
数日でしたがお付き合いくださった皆様、ありがとうございました。

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