耳をそばだてては毎日聞き惚れていた、魅惑の声の持ち主は、ある日突然、侵入者となって「私」の前に現われた。 やがて形勢は逆転し……それから一年後、「彼女」はある契約を私に持ちかける…

《はじめて夢月七海様の自主企画「同題異話」に参加します》 美大を出て就職もせず、只ひたすらに絵を描く「私」に、 母は亡くなった祖母が所有していたアパートをひと夏のアトリエにするよ…

おそらくは、昭和20年代前半、東北は仙台近郊の寒村にて。 復員兵の「俺」は、満州から故郷に帰還した。 菊の花を手向けに向かったのは、妻である薫の墓だった。 しかし、そこには先客が…

毎年、「俺」が持ち帰っていた、義理チョコの意外な行方の話。 ※もとは自主企画「チョコ俳句スロットでお話を書こう！」用の短編です。 スロットで出来上がったのが下記の俳句。これをお…

某月某日、都内、某ホテルのセミナールームにて。 私をはじめとした作家仲間が、編集からの命令で、一堂に集められた。 みな、自作ロスに陥って、新作に取りかかることができない作家たちで…

遠い夏の日に起きた、保育園無差別襲撃事件。 被害者である園児だった私は、皆がもう訪れなくなったその跡地にこの夏も立つ。 なぜなら、今年の夏は、必ずあの人がここに来ると確信していた…

いつも、ずっと、教室でひとりぼっちの私。 当然、林間学校でも班に入れてくれる友達は居ない。2人一組の布団に潜り込むことすらできない。 だから、私はそっと夜半、1人の布団を滑り抜け…

花河女学園高等部にはふたつ、陸上部があった。インターハイ出場を誇る「陸上部」と、ケードロ大好き部長と副部長しかいない「第二陸上部」。もちろん、私、前田くるみは、前者に憧れて入学し…

「春疾風」＝はるはやて・春の烈風のこと。春嵐。 昔々の、何処かの話。とある寒村に暮らす、貧乏百姓の家に生まれた娘、マツリ。 祝言を近日中に控え、山菜摘みに山にひとり出かけた日、…

性癖：極限状態における人間のせめぎ合い　性癖：人間の暴力性　性癖：暴力の連鎖 第四回性癖小説選手権参加作品です。ある戦争で捕虜となった兵士の回想。

海戦中に海に落ち、記憶を失い男娼に身をやつした男と、彼に付き従う男。 男ふたりが織りなす愛憎劇。 自主企画「総受けvs総攻めフェスタ」参加作 https://kakuyomu.…

一兵士であるマルクは、ある夜、敵国の村を襲撃する。 しかし夜襲は失敗し、ひとり生きながらえたマルクは囚われ、奴隷としての生を余儀なくされる。これまた生き残った村の女たちの憎悪を一…

陸と冬馬は、高校のワンゲル部の仲間だった。だが高校卒業式のあと、陸は冬馬の前から姿を消す。 一年後に届いた陸からの連絡は、ただ一言「雪山に登る」だった――。 ＊下記2つの企画用…

梢さんは私のために、そう、いつも祈ってくれていた。 お題「光」。自主企画「第七回こむら川小説大賞」参加作品。 https://kakuyomu.jp/user_events/1…