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セージュと洒落怖(1)

「ルヴナンと饒舌な奇談蒐集家」を更新しました。

最新話「夕霧兄弟」では、映画「リング」への言及があります。おそらくタイトルを書かなくてもわかるかと思い書きませんでしたが、貞子が井戸から出てくるあの映画です。

リングの他にも、雨流との会話の中で、セージュがいくつか有名な洒落怖のタイトルを挙げています。ここではそれらについてのご紹介を少し。

※「洒落怖」または「洒落にならないほど怖い話」は、一般的に匿名掲示板2chに書き記された怖い話を指します。2ch内でのスレッド名が「洒落にならないほど怖い話を集めよう」だったのが由来のようです。
ここでは厳密に選別せず、別名のスレッドに書かれた怪談や、ネット上で流布した匿名の体験談も総じて「洒落怖」として扱います。



【リアル】【コトリバコ】

この2作品は「台本なしでは到底無理」、つまり長編大作として名高い怖い話。
洒落怖の特徴のひとつに、口語で書かれていることが挙げられます。それが臨場感を増して怖いわけですが、何の変哲もない男性の日常が突然怪異によって滅茶苦茶になり、霊に憑かれながら生きる様子を長期スパンで描いているのが「リアル」です。日記のような「なんで俺なんだよ」という感じがつらい。

「リアル」と「リゾートバイト」のふたつは洒落怖の代名詞的作品なので、読まずともタイトルを聞いたことがある方も多いでしょうか。
洒落怖は、多くが投稿者の主観で書かれている体験談のため、読み手によって怖いと感じるか否かや好き嫌いが結構はっきりと分かれます。

その点で言うと「コトリバコ」は好きな人が多い作品かもしれません。
こちらはいわゆる土着信仰の要素がある作品で、投稿者の友人が近々取り壊す納屋を掃除中に見つけた箱にまつわる怪談です。

「リアル」ほど長くはありませんが、箱に関する情報提供を求めつつ後日談が追記されていくので、最終的にはボリューム満点です。
また投稿者の住まいが島根県であると明かされており、歴史的根拠がありそうな内容から、信じられないほど悍ましい話ながら実話としての説得力強めなのも特徴。

そのため西日本を舞台にした派生的作品が数多くあります。

「コトリバコって知ってる?それに似てるかもしれないんだけど……」から始まる洒落怖もあるほど「オカルト板を読む人なら当然知っている」という認識の人気作です。



【猛スピード】【旅館の求人】

こちらは「頑張れば暗唱できるかも」という短編。YouTubeでこれを朗読した作品を検索してみると、だいたい3~5分かかっているので、たぶん2000字くらい?

「猛スピード」は短いながらファンが多い印象です。これに似ている話は他にはあまりありません。

「旅館の求人」は展開が二転三転するのが面白くも不気味。
暗唱するのはきついですが、どちらも繰り返し読んだり聞いたりしてしまいます。味わい深い。



【危険な好奇心】

実はこれも洒落怖のタイトル。
怪談のカテゴリは「怖い話」「不思議な話」「人怖」の3つがメインかと思いますが、これは人怖ジャンルに数えられることも。
「生きている人間が起こした怖い話」が「人怖」です。

投稿者が小学生の頃、近所の山に秘密基地を作り、仲間と夜間に秘密基地へ行ってみると、森の中に見知らぬおばさんがいて……わーもー、やだー大竹しのぶの黒い家かよ~~という、長編ながら冒頭でわりと不穏。
個人的には文章が巧いという印象があり、わかりやすいおばけは出てこないものの、後味も悪くてじわじわ怖いです。私はあまり人怖には興味ないんですが、これは好き。


ちゃっかり(1)なんてナンバリングをしてしまいました。ルヴナン本編が進展したら、また追加したいです。楽しいので。


また最新話「夕霧兄弟」の最後には夕霧雨流&雨蕾々の元ネタである「夕暮兄弟」に関するクレジットを挿入しております。

それにあわせてYouTubeチャンネル「夕暮怪談(夕暮兄弟)」の「短編怪談朗読8」のURLを記載しました。
2022/2/7時点での最新作です。血雨さんが珍しく怪雨さん原作の怪談ではない洒落怖作品「自販機の底」を読んでいるのでこちらをチョイスしました。

その他の作品も実話怪談なので傾向がバラバラ、バラエティ豊かな怪異を楽しめます。

血雨さんのお声、朗読もとても魅力的ですので、興味を持たれましたら是非、ルヴナン本編と併せてお楽しみください。

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・YouTube/短編怪談朗読8【夕暮怪談】
https://www.youtube.com/watch?v=qwXvb_ivLow

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