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凛と花咲くには~武子の恋~第64話 秘匿と公開 ライナーノーツ

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 とうとう馨くんは大蔵省を辞めてしまいました。
渋沢栄一は井上馨とかなり馬があったらしく、徳川慶喜と共に誤解されることの多い人なので、誤解を解くために伝記を作ると言って、井上馨の伝記を作ることもしています。「世外井上公伝」といって井上馨についての基本書とも言えるものです。ここには手紙や資料の引用も数多くされていて、原文にあたることも可能だからです。

 馨くんが「太政官に大蔵省の内局を取られただけだ」と言っていたのは「太政官制潤飾」という改革のことを言います。「潤飾」というのは付け加えた的なことですが、約定書でできないはずの改革に当たるので言葉をごまかしたということです。この太政官の改革が後で政治問題化しますが、そこに馨くんは?

 政府の財政を暴露した新聞記事ですが、政府も大隈を中心に計算し直します。そこで、収支は悪くないと公表してます。この年歳出は馨たちの計算通りでしたが、歳入の米価の見積もりが馨たちが一番低く、実際の米価はかなり高騰していたこともあって、数千万円の黒字になっていました。この時代、まだ予測をするのは結構大変だったということです。
 そして裁判にまでなった情報公開のことですが「諸外国では当たり前」の諸外国は、欧米の立憲国家だけだったのです。そのことを知っているのは馨とそう多くない知識人ですから、当たり前のことをして何が悪い、と言われれば納得せざるを得なかった一面もあったようです。

 このころ木戸さんとは、あの手紙めっちゃムカついたから絶交だ、状態になっています。それで、伊藤博文に愚痴を書いて、プライベートビジネスをすると伝えています。しかし、このころ木戸と伊藤の仲も悪くなって、伊藤は大久保利通と親しくなっています。「俊輔に言ったから大丈夫」なのか?
 その大久保は帰国して、実権を握ると大蔵省を解体して、内務省を創設しています。この国を豊かにするといった「殖産興業」は大久保利通の手で進められることになります。

 もう一つ事件の芽が起きていますが、それはまた後の話です。

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