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遠回りの二〇年間でした

 二〇〇〇年代初頭のこと、気に入って買ったアンティークの腕時計を自分の不注意で落下させてしまい、結果、長針がはずれてしまいました。早速修理してもらおうと何軒かのショップをあたってみたのですが、どこからもお断りされてしまいます。理由はあまりに古いので保証ができないためとのことでした。それから件の時計はずっと引き出しの奥底に眠ったまま早二〇年が経過して現在に至ります。
 実はこの夏、定年退職のご褒美ということで海外オークションでアンティーク時計を落札、これについては先の近況ノートに詳しいですが、その時計がなんともまあよろしくない。溜まったフラストレーションを解消しようと今度は国内のオークションで別のアンティークを落札するも、それもまたしかり。
 確かにね、オークションに出品されてる代物は玉石混交、そもそもクジ運なんてない自分が掴むのはまあ「石」だろうと。そして結果はまたもや案の定、そんなわけで物欲はますます高まるばかりの夏を過ごしていたわけです。

 ところで退職祝いと人生の節目ということで十数年前に買ったオメガのアンティークをオーバーホールに出しました。それが安くはないですが満足のいく価格でやっていただけましたので、それならばと件の時計を引っ張り出していよいよ修理に出す決意をしたわけです。
 かつてお断りされた代物です、郵送受付ではなく持ち込みで診てもらえるショップを探して訪ねてみたところ……ああ、治りますよ、これ、とのお話。そんなわけで修理をお願いし、それが今日、帰ってきたわけです。

 せっかくなので写真を載せさせていただきます。
 これはオメガのアンティーク、Cal.26.5Tというモデルで直径26.5mmのムーブメントが入っています。製造年はなんと一九四三年(推定)、第二次大戦中に作られたんですね。もちろん手巻きです。
 文字盤もいい感じです。外周が暗色で中心部が明色、同心円状これはブルズアイと呼ばれるデザインです。そしてインデックス、アラビア数字が並んでいますがそれらは正方向ではなく中心部を向いた配置で並んでいます。
 そしてサイズは、今ではかなり小ぶりでボーイズサイズあるいはそれよりも小さいかも知れません。それでも防護を兼ねて台座を着けたりすればかなりおしゃれになると思います。

 それにしても、オークションでの購入はそれなりに楽しめましたが、結局この時計への代償行動みたいなものだったのかも知れません。ならばもっと早く……いえいえそれは言いっこなし、あれはあれで楽しめましたし、落札した後に不動となった時計もまた今後のメンテナンスで見違えるかも知れませんし。

 そんなわけで、そろそろ夜は涼しくなってきましたが、私はこの時計との今後を考えて熱く盛り上がっている次第でした。


再会興奮弥栄!

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