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私がなぜ「偽装結婚小説」を書いたのか

 昨年から投稿してきた偽装結婚小説「虹の影は黒色」が完結した。
「偽装結婚」をテーマに書こう、と思い立ったのはもう10年以上前である。書けるなんて到底思えなかった。でも書きたいものは書く。無茶でも書く!過去にはボクシングのことろくに知らないくせに、ボクシング小説書いちゃったこともある。(書くと決めてからいろいろ取材したけど)。今回も、とりあえず完走出来て感無量だ。

 偽装結婚小説を書こうと思い立った頃、私の周りでは友人、知人の結婚ラッシュだった。ところが私は、結婚に対し全く夢を持てなかった。「虹の影は黒色」の中で「滝口さん」という女性が出て来るんだけど、その人が私に一番近い人物だ。家事全般が苦手で子供は嫌いじゃないけど、まともに育てられる自信が全く無い。PTAだの部活当番だの、考えるだけでパニックで頭がおかしくなりそう、おまけに同世代の男性はロスジェネ世代のせいか、余裕が無くて優しくなく、弱い者いじめする人ばかりに思えた(あくまでも私の乏しい経験の範囲内の話だけど)。
 結婚に夢は抱けない。だけど胸を張って独身を貫くことが出来ない。独身は恥ずかしい、肩身が狭い、負け犬って言われたくない、そんな思いもあった。職場でのシングルハラスメントって間違い無くあって、「あんたは主婦じゃないからどんくさい」って言われたり、上司から「顧客にはうちの社員全員既婚ってことにしてるから。そう言うこと。その方が信頼されるから」って言われたこともある。そんな中、数少ないシングル志向の知人と「ゲイの人と偽装結婚しちゃおうか……」なんて話をすることもあった。こんな時、ふと思いついたのが、「偽装結婚を仲介してくれる人、誰かいないか……!??」ということ。
 私の場合、この手の妄想って、すぐに小説の方に結びついてしまう。「偽装結婚仲介屋の話なんて面白いんじゃん? 絶対書こう!!」って思ってしまった。こんな変な話思いつく人、私の他にいないだろう、ってその時思った。
 「偽装結婚」といえば、外国人が日本に在住することを目的とした犯罪の事は無視出来ず、小説の中に盛り込んだ。当初は、馳星周の小説みたいな雰囲気の、本格的な犯罪小説を目指していたんだけど、なんせ取材が出来ないのである。気骨のある人は犯罪者にインタビューってことまでやりとげるのかもしれない。でも私は出来なかった。実際外国人との偽装結婚を仲介している人に話を聞くことは出来ず、苦肉の策として、偽装結婚仲介屋本人ではなく、彼女に憧れる少年を主人公にしてほとんど彼目線で書いた。結果的に、彼が物語を引っ張っていってくれたおかげでなんとか完走出来た。
 残念ながら、PVは全然集められなかった「偽装結婚」というネタをうまく料理できなかった私の実力不足でもあるんだけど、クリックすらしてもらえないのは、「偽装結婚」というネタ自体があまり人の興味を引くものではなかったのか。
 基本、私は自分が読みたいと思うテーマの作品を書くんだけど、自分が読みたいものと人が読みたいものの間には大きな距離があることを痛感させられた。読んでもらえる書き手になりたい、とは思うけれども、やっぱり私は私の読みたいものしか書かないだろうな、と思う。

4件のコメント

  • こちらから失礼します。
    この近況ノートでおっしゃられている偽装結婚小説は、今は非公開になっているのでしょうか。
    フォローしようとしたらなかったもので……。
    もし、何かしらのNGということでしたら、このコメント自体削除していただいて構いませんので。

    あと、拙作への応援、ありがとうございます。

    ではではノシ
  • 四谷軒様、ありがとうございます!
    今の感覚からするともう新鮮味が、無いかなあ、など、色々思う所があって今は非公開にしています。でもせっかく思いを込めて書いた小説なので、また全体を修正するなどして公開するかもしれません!
  • こちらからまた失礼します。

    非公開の件、了解しました。

    また、拙作「河越夜戦」へのお星さま、ありがとうございます。
    自分としては、初の長編だったので、思い入れのある一作だったので、最後まで応援、コメントをいただき、そしてご評価いただけたことに、とても嬉しく思います。

    ありがとうございました。
  • 初めての長編でこれだけの作品を書けるのは凄いですね!
    四谷軒様の武蔵野への思いも伝わってきました。
    また作品を読ませていただきます!
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