• エッセイ・ノンフィクション
  • 現代ドラマ

もうこんなに、こんなになってしまって

 年末です。時の流れに呑まれて、いつの間にやらです。活動らしい活動もできていませんし、作家と名乗るのもおこがましい体たらくでありますが、気持ちは未だここにあります。自分という生き物が他にもいたら、そうもいかないのでしょうが。
 時々、思うのです。自分らしさなどという漠然としたものに振り回されることなく、自由に生きていけたとしたら? その時にはきっと、幸せになれるだろうと。
 そしてそれは、個性をかなぐり捨てて、ありきたりな人生にその身を捧げようという覚悟の下に成立する幸福であると、そう思うのです。加えて、僕はそのようにすら生きていかれぬ弱者であるとも。

 とにかく、僕には悩みがあります。決して解決することのない、呪縛のような悩みがあります。死への対面ではありません。苦しみの享受でもありません。僕には悩みがあります。
 それは僕よりも、自分らしく生きている人から生じているものです。その人の苦しみを理解することもできなければ、その苦しみを癒すこともできない弱さそのものです。僕は弱さと向き合えず、かといって振り払うこともできないままに、その心労によって体重を減らしていくのです。
 いや、体重のことはいいのです。苦しみが僕でない所に生じて、どうしようもなく残っていることが、それが他者の数以上に存在しているという確信が、そうまで分かっていても何も解決できない無念さが、僕を悩ませているのです。もうこんなに、こんなになってしまっているのです。

 涙は年を越そうとしています。

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する