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拙作は今のところ、すべて同一の世界で展開されております


だから何なのかと問われたら何というアレでもないのですが(挨拶


いつも拙作におつきあいをいただきありがとうございます。
いったい何の話をしているのかといえば、「雪降る館のフィギュア」112~113話にかけての話です。とっても久しぶりの設定語りです。ひゃほーう。


目下、長々とセリアの過去編が進行中な現状なのですが。
拙作「くすんだ銀の英雄譚」と併せておつきあいをくださっている方がいらっしゃいましたら、なーんかどっかで見たことあるような連中がちょいちょい出てきているのに、もしかしたらお気づきいただけたのではないかなぁーなどと思うところがないでもなくいる今日この頃なのです。

もうぶっちゃけますと、メルビルから逃げ出した後のセリアは、「くすんだ銀の英雄譚」第一章の舞台であったシドの拠点、クロンツァルト東方の田舎町ミッドレイへと流れ着き、そのまま十年ぐらいそっちの方で――ミッドレイの隣村で平凡に暮らしていました。

時系列としては、シドがミッドレイを出てサイラスなんかと出会っていたくらいの頃にセリアが入れ違いでミッドレイへと流れ着き、「くすんだ銀の英雄譚」冒頭の時系列に先立つ数か月前(同年のどこか)の時点で、セリアはミッドレイを離れて再びあてどない放浪を始めた、という感じになります。

なのでまあ、この二話の間はそれっぽい台詞や地の文が、わざとらしく方々へちりばめられていました。
具体的には以下

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【112話】
『まあ、いい。こっちとしちゃ、使える人手が増えるってんなら大歓迎だ。ちょうど、いちばんの腕っこきが、他所《よそ》へ遠出を始めちまったばかりなもんでな」

…今更言うまでもなく、シドのことです。
 この「遠出」の時にシドはサイラスと出くわして、半年ばかり(半ば押し付け気味に)後輩の面倒を見ていたという経緯になります


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【112話】
『あんたの子供?』
『息子だ』
『それは見ればわかるけど…………血の繋がった?』
『母親似だ。俺みてぇなのに顔が似なくて、心底ほっとしてる』

…支部長はドルセンで、支部長と顔の似てない息子はヨハンです。てか、後で名前出しましたしねヨハン。
 どちらも「くすんだ銀の英雄譚」第一章で出てきた、ミッドレイの面々です。

 時系列を鑑みると、たぶんドルセンは流行り病で奥さんを亡くして間もないくらいの頃なので、セリアの疑問ないし軽口には内心かなりイラッときていたのではないかと思いますし、セリアが『女相手に本気の暴力かよ』と毒づく程度にはぶちのめしていたのも、その怒りをぶつけた(割とやつあたりじみた)結果というつもりで書いていました。

 余談ながら、セリアの階位を「銅階位」としていたの、ドルセンの見る目があるということでもあり、ひとたびは金階位へ上がったセリアの、本来の相応の…という話でもあります。

 この辺は、書いたやつがわざわざ解説するのがたいへんに野暮な類のやつかとは思いますが。まあ、そんな感じです。

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【112話】
 あまりの実入りの悪さに加えて、それでもうっかり入り込んでしまった連中が当地の腕利きに悉く追い散らされたらしいという経緯もあって、今では貧乏野盗すらろくろく寄り付かなくなって久しい――そんな土地だった。

…だいたいシドのせいです。あと現役時代のドルセン。

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【113話】
 今年で二十歳になるという支部長の息子は、不細工なでぶ猫みたいな父親とは似ているところがひとつもない、花のようにすらりとした美青年に育った。
 セリアをして、町の娘達からさぞもてるだろうと思わせた彼は、ふたつ年下の幼馴染み──この町でいちばん古い宿屋で看板娘をしている娘と好い仲で、春にはその彼女と夫婦になる予定なのだ、と。そんな噂を聞いていた。

…この描写の直前で完全に名前が出ていたヨハンと、彼の幼馴染の看板娘ことターニャ。どっちも「くすんだ銀の英雄譚」第一章で出てきた面々。
 この時期にこの二人が結婚を控えている、というのを踏まえると、作品間の大体の時系列がわかるかも、という気がしています。私的にめっちゃ愉しんでいるところです。

 このあたり、意識的にシドの時とは描写の距離感を変えていて、

 シドの時は「懐いてくれる子供達」。
 セリアの時は「支部長の似てない息子と、その幼馴染の看板娘」。

 ――で、特にセリアから見たターニャは「支部長の息子」を挟んで結構距離のある間柄という塩梅にしています。顔はお互い知ってるかなってくらいのご近所さん。

 割とどうでもいいアレかもしれませんが、こうした「個々のキャラから見た距離感の違い」は、意識的に変えながら楽しく書いているところです。

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もともと、メルビルを離れた後のセリアはどこかの田舎に引きこもって平凡な冒険者仕事で食いつないだり結婚したりしてた――という概略はあったのですが、いざ書き出すにあたって「どこかの田舎」としてものすごく都合のいいところがあったので、その「都合のいいところ」をそのまま引っ張ってきた次第です、

名無しのモブが増えるよりは、セリアの解像度を上げるにもいいんじゃないかなという意図はないでもありませんでしたが、実態は多分に遠野個人の趣味によるところです。はい。
セリアが流れ着いたばかりの頃はセリアを見上げるくらいの背丈の子供だったヨハンが、彼女がミッドレイを離れる頃には「花のような美青年に育った」というのは、過ぎ去った時の流れを感じさせてたいへんよいのではないかと思います(※自己満足愉悦)


特別関係が深い訳ではないんだけど、顔見知り程度のつきあいだったり知り合いを通した知り合いだったり、「袖すり合う」ようなふわっとした関係性がキャラ同士の間であったりしたら、面白いんじゃないかなー、と思っているところのある私でした。

久々の設定語り、たいへん楽しゅうございました――ということで。
それでは。

2件のコメント

  • こういった壮大な世界観、物語と物語のつながり、歴史の流れ……みたいなものは、全部ノート的なものに書き出しているのですか? それとも頭の中で構成されている?
    また、機甲少女とフィギュアとくすんだ銀ともに、この世界観が出来上がってから書き始められたのか、それとも書きながら構築していったものなのか……。
    あまりにもすごすぎて、何にも言えません。

    あ、質問事項は企業秘密でしょうから、お答えいただかなくて結構でございますよ!
  • > まめいえさん
    秘密でも何でもないのでぶっちゃけてしまいますと、ぜんぶ頭の中で構成してて、書き出す時に矛盾がないか過去作を一応確認するくらいで…ほんとはもっと丁寧にやらないといつかどっかで破綻をきたすんじゃなかろかという気は前々からしています。

    書き始める前の段階で「この辺とこの辺繋がるんじゃなかろか」と思ったのをストックしておくこともありますし、「機甲少女」と「フィギュア」みたく端からクロスオーバーする想定で概略を組んだりもしてますが、都度都度と思い付きでやってることもだいぶんあります――うまく嵌るとめっちゃ楽しいです。
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