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スリマジェこぼれ話(5)ケレン味の話

 さて、スリーピング・マジェスティも昨日で堂々の第一部完結と相成りました。第一部というか、第二部は今のところ未定なので、単なる完結ですね。ただ、書き手仲間から「え? これで終わりかよ」みたいなことを言われるので、一応『第一部完結』にしておきました。第二部はですね、アイデアは溜まってはいるのですが、プロットが……。

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 今回はケレン味について。
 ケレン味。語源由来辞典によりますと、歌舞伎における宙乗りや早替わりなど、大掛かりで奇抜な演出をいった“けれん”がその語源だそうで。ごまかしやハッタリを意味するそうです。
 本来、『ケレン味のない文章』というのはごまかしのない実直な文という意味で、褒め言葉になるらしいのですが、ことエンタメ小説において、ケレン味はむしろ大事なエッセンスであり、非常に重要な意味をもつと思います。

 例えば時代劇で、忍者は軽々と屋根の上に飛び乗ります。しかしそれって、本来ならばあり得ないはずですよね。まず、ジャンプして手をかけて、よっこいしょと片足を持ち上げでもしないと、屋根になんて登れません。でも、忍者は軽々と飛び乗っちゃう。むしろ、飛び乗ってくれないとなんとなく興が冷める。これがエンタメにおける“ケレン味”だと思います。

 しかし、今作スリーピング・マジェスティは、極力ケレン味のない作風を貫きました。今作の騎士たちは2メートル上にはジャンプできません。凄まじい速さで動いて残像を生じさせたりしません。剣で石の壁を容易く切り裂いたりしません。我々、現実世界における人間と、ほとんど変わらない身体感覚の持ち主です。

 なぜ、そうしたかというと、一つには当時の自分がリアル志向狂信者であったことも一因ですが……、やはり、馬上槍、騎士たちの突撃をメインに据えたかったからなのですね。なので、今作の味方の魔法使いたちは、ほとんどが補助系の魔法しか使えません。

 しかし、この決断はエンタメ小説であるライトノベルにおいて、非常に足を引っ張る決断でもありました。結果として今作は、いかに騎士たちが主役のシーン以外の日常パートなどでエンタメするか、集団戦以外のバトルでは、どうにかして大掛かりな舞台装置を出せないか……に腐心することになりました。
 でも、色んな作家さんが『デビュー前は好きなものを書け』って言うじゃんかぁ。好きなんだよぅ、洋画でもありえそうな、名著『ロードス島戦記』くらいのリアル度がよぅ……。

 その結果が、「なんか統一感がない、バラバラ」と取られるか、「集団戦のシーンも、他のシーンも面白い」ととられるかは、これはもう読者さん次第ですね。今はリアル志向のファンタジーも再び注目を集めていますし……、刺さってほしい。多くの読者さんに!

(まぁ、今のところは、ということで。今後、スリマジェのキャラが残像を使い始めたら、何かを察して下さい)

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