皆さん、今期どんなアニメ見てますか。私は慎重勇者や本好きの下剋上、ドクター・ストーンなんかを見ています。薬屋のひとりごとも今度アニメになるらしいですね。
それらのアニメを見ていると、面白いなぁと思うのと同時に、驚愕というか脅威というか畏怖というか、そんな感情が毎回押し寄せます。
ワンイシューモノって強い。
どっかの政党じゃないですけど、一つのテーマに絞ってお話が組み立てられている作品ってパワーがありますよね。
慎重勇者は、勇者があり得ない程慎重だったらどうなるか? だし、
本好きの下剋上は、本が一般的でない世界で本を作ろうとしたらどうなるか、だし、
薬屋のひとりごとは、宮中のお悩みをとにかく薬師の知識で解決、
ドクター・ストーンは、現代人が石器時代でゼロから文明を再構築、
とまぁ、やる事が一貫してる。
強い。
やる事が一貫している作品は強いです。読者としては、「俺はハーレムものを読みに来たのに急にバトルが始まってしまった」みたいなことがない。
振り返るに、自分の作品作りっていつもワンイシューとは言い難いんですよね。
つーか、逆。
スリマジェを例にとると(読んでない人は読んでください)まず、「馬車を戦車みたいに使って逆転! これが書きたい!」が最初にあって、次に「軍対軍の戦いになるから、主人公は強すぎない……かといって戦局を左右しうる力」みたいに考えていって、「眠りの力……眠りと言ったらラベンダー(安直)……花の力にでもしよっか」になる。
これがワンイシュー小説だったら、「主人公はラベンダーの魔法を使って、毎回色んな困難を回避する」になるのかな?(ワンイシューで戦うとなると、これじゃフックが弱いが)
でも、スリマジェは作中色んな困難に出会いますけど、魔法の力で解決するだけじゃなくて色んな手法を取るわけですよ。
「俺は軍対軍のバトルを読みに来たのに!」とか「私は花の魔法で戦うイケメンの話を読みに来たのに!」とか、そういったニーズを、その時々で対処法を変えてしまうせいで取りこぼしてしまう。
これが薬屋のひとりごとだったら、毎回解決方法は違えど「薬の知識」っていう点だけはぶれないわけですよ。慎重勇者だったら、毎回解決方法は違えど「あり得ない程の慎重さで」という点だけはぶれないわけです。
お話の作り方そのものが逆なんだなぁと思うわけです。
先程例に挙げた四作品は、真ん中に一本主軸があってぶれないので、「俺はハーレムものを読みに来たのに急にバトルが始まってしまった」みたいなことが起こらない。
ドクター・ストーンや本好きの下剋上なんかはさらに、「(状況に応じて前後することはあれど基本的に)文明レベルが低い状態から高い状態へ進んでいく」というロードマップが見えている。真ん中の一本道がぶれない。強い。
もちろん、そうしたワンイシューモノならではの作り方の難しさというのもあると思います。薬屋のひとりごと何かは「薬師の知識で解決」という点以外は無限の選択肢があるわけで。事件から考える私のやり方と違って、毎回趣向を凝らした事件を考えないといけないでしょうから、きっと難しい。
私のやり方ですと、「とにかく馬車を戦車みたいに使って逆転するところまでは書こう! その為に必要な布石を順に打っていこう!」と考えるので、逆算、逆算で作っていけるわけで、目標地点が見えているという意味ではもしかしたら楽なのかも知れない。
小説を書き始めた人はアドバイスおじさんに百万回は聞かされたでしょうけど、「面白さを一行で説明できるか」ってやつです。わーってます、わーってます。一行ね、一行。理屈は分かってるんですよ。ただ、先に一行で説明できる面白い(小説力の強い)設定を作ってしまって、それに沿って話を作っていくやり方が苦手なタイプがいるんだ……俺だ……
仕方なく後から考えるんだけど。「弱い軍を鍛えて大軍に勝つ話」みたいに。こうやってパッケージングされるとワンイシュー作品っぽく見えるけど、作り方が逆なので、なんていうか、「パワーが足りねえなあ」とか「ブレてるなあ」と書いてる本人は思っている。
よくウェブ小説を論考する際に言われる、連載漫画と二時間映画の作り方の違い、といえばいいんでしょうか。二時間映画のアオリで「ラスト五分、すべてが覆る!」みたいな、そのラスト五分のところを先に考えて、そこまでの道程を逆算逆算で作る私。とにかく毎週アンケートで結果を出さないと打ち切られてしまう為、毎号毎号面白い話を載せる事に神経を注ぐ連載漫画の作り方……と同じような作り方(に私などからしたら見える)ワンイシュー作品。
私の作り方だと二時間で燃え尽きちゃうけど、連載漫画の作り方だと、無限に続けられるという利点、さらに長期にわたってユーザーを離さない力もあるのですごいですよね。羨ましいですね。薬屋のひとりごとを読み始めた人は、「薬師の知識で問題を解決する話? へぇ面白そう」と思って読み始めたんだから、とにかく薬師の知識で問題を解決している間は読者と作者の向いている方向が一緒なわけで。
恐ろしいのはそんなワンイシュー作品なのにさらに「ラスト五分、すべてが覆る!」までやっちゃう人がざらにいるってことですよね。
長々と話してきましたが何が言いたいのかというと、今私RPGツクールというやつでゲーム作ってるんですけど主人公の目的がブレブレのブレで、ぐおおと悶えてます。