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スリマジェこぼれ話(3)四大貴族の話

 さて、数少ない“スリーピング・マジェスティ”ファン(いるのだろうか?)をガッチリとつかんで離さないために始めたこの企画、第三弾でございます。
 第三回にしてすでに話すことがありませんが、ここ二回ほど、作者視点による産みの苦しみについてお読みいただきましたので、今回は多少設定的なことを書いていこうかなと思っています。

   🌟 🌟 🌟

 本作の主な舞台となるサングリアル王国には四人の大貴族がいます。
 この辺りのアイデアはですね、神聖ローマ帝国の世俗選定侯をベースに、イギリスの貴族制度や、日本の中世の官職などをミックスして生み出したもので、作品の舞台はフランスふう(あくまで、“ふう”です。“ふう”)というごった煮ぐあいです。

・侍従卿(じじゅうきょう)
 宝の鍵と財務を司ります。
 薄紫の衣服の上に、純銀製の飾り帯をかけています。
 英語で書くと、おそらくLord Chamberlainになるでしょう。フランス風の世界なのになぜ英語かという質問にはお答えできかねます。
 現代日本では“侍従”というと、位の低い者を想像しがちですが、本来のイギリスの貴族制度では主人に替わって財政を取り仕切るため、非常に位が高い者であるという話を読んで、一番最初にこの役職を出そうと決まりました。
 ただし、本作の舞台においては、領地という基盤と、それに伴う権力を失い、名誉職になっています。

・大献酌(だいけんしゃく)
 樽の鍵と乾杯を司ります。
 濃紺のローブの上に、橙色の飾り帯をかけています。
 英語で書くと、おそらくGrand Cup-bearerになるでしょう。フランス風の世界なのに(略)
 日本にも“献酌侍従”という役職がありまして、翻訳の対照性を考えるのであれば本来ならばそのように訳すべきだとは思うのですが、四貴族をもっと分かりやすくまとめたいとの思いからこの名前になりました。
 こちらも、領地と権力を失い、名誉職になっています。

・家令卿(かれいきょう)
 蔵の鍵と糧食を司ります。
 衣服? 忘れたな……。
 英語で書くと、おそらくLord Stewardになるでしょう。
 日本でいうと“大膳職(だいぜんしき)”になるのかなぁ? この辺りは、その、うん、深く突っ込まれると、あはは。
 この人は権力もまだ持ってます。

・大主馬(だいしゅめ)
 厩(うまや)の鍵と軍事を司ります。
 衣服? なんのことかな……?
 英語で書くと、おそらくGrand Marshalになるでしょう。
 日本にも“主馬頭(しゅめのかみ)”という役職がありまして、いかにも馬イコール軍事力なんだよ! というのが分かりやすい名前だったので採用しました。
 この人も、領地も権力もある大貴族ですね。

 と、ここまで書いてきて、ファンタジー小説では避けて通れない“翻訳問題”というのが見えてきたように思います。私のスタンスとしては、『サングリアル王国では、日本語でもフランス語でもない独自の言語がつかわれている──が、筆者がそれを一度フランス風の世界に置き換えて、それをさらに日本語に翻訳している』というスタンスを取っています。
 あとは『現実世界と同じ植物が生えているのか問題』なども、この作品とは切っては切り離せない問題なのですが、もうだいぶ字数を使ってしまったので、それはまたの機会に。

   🌟 🌟 🌟

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 昨日と繰り返しになりますが、今、本作の一番の見どころのシーンが終わりまして、一気読みにはちょうど良い頃合いです。
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