新海誠監督の新作『すずめの戸締り』を観てきました(注:このコラムは第二十五話を書き上げた直後に書いております)。
面白かったです。
が、また観たいかと言われるとしばらくは遠慮したいなと思える内容でもありました。
理由は単純に3・11の大震災に関わるような内容だったからです。
と言っても私は別にあの震災で大切な人を失ったわけでも、生活ががらりと変わってしまった人でもありません。
確かに数日は不便を強いられましたが、すぐに復旧して普通の毎日を送れるようになった人です。
でも、何故か上映中は心のどこかが苦しめられるような気がしました。
存外に私の中であの震災はまだ生々しさを残しているのだなと実感させられたのです。
断っておきますが、映画そのものはよかったと思います。
個人的には『天気の子』ぐらいな終わり方の方が新海誠監督らしいし、個人的にも色々と想像が膨らんで好きなのですが、今作を監督の最高傑作と推す人がいるのも分かるような気もしますね。完成度が高いです。
この作品を見る人の多くがあの震災を知らない時代になれば、もっと高い評価を受けるのではないでしょうか。
そう言えば私が子供の頃、『八時だよ全員集合』のコントでいかりや長介さんがいつもの「おいーす!」「声が小さい! もう一度! おいーす!」を繰り返した後に「静かにしろ、ここは戦場だ」とやって笑いを取るシーンがありました。
私もそのギャップに笑いました。戦場を知らなかったから普通に笑えました。
そういう時代を私たちはこれからも守っていかなければいけないと思います。