小説を書こうと構想している段階は、見晴らしのいい高台から草原を見渡しているようなもので。
遠くに辿り着くべき結末も見えてますし。
全体を見渡してみたり。
進み行く道に期待が高まりワクワクしたり。
なんなら、風にさやさやと揺れる草くさの様も美しく、なんとも爽やかな気分でいるものです。
しかし、いざ書き出してみるとですね。
高台を降りて草っ原へ……いえ草生い茂る大湿原へ分け入るようなものでして。
先は見えない。
足元は取られる。
行けると思った方は沼。思わぬところに道があり。
懸命に全体像を思い浮かべるも、容易に現在地を見失い。
なにが飛び出すか分からない薮をこく。
上からはこんなもの見えてなかったぜ!
小説を書き上げるのは、いつだって冒険です。
大湿原を結末へ向けて進む全冒険野郎に幸あれ。
新たな湿原へ足を踏み入れたことを一歩目で後悔している冒険野郎より、愛を込めて。