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子供にご飯を作る

食べられる事は当たり前か…に絡んだ昔語りです。

私には実子はいません。
これはまだ若い時分の勤め先での話です。
新しく店舗オーナーを検討されているご夫婦が店舗見学にいらっしゃいました。2歳位のお子様連れでした。
ご両親は私の勤務店舗の担当者と打ち合わせをしているのでお子様は暇そうです。そしてその日は珍しく複数人スタッフが居ましたので勤務して日の浅い私がお子様のお相手です。
店舗に小さな給湯所があったので近所で材料を買ってきてホットケーキを焼いてその小さなゲストにお出ししました。ゲストは熱々を一枚食べて。
「甘くておいしい」
そしてそのホットケーキを持ってご両親の居る会議室に入っていきました。
それから暫くして話し合いも終わり、私は店舗担当者に呼ばれました。
出過ぎた事をするなと叱責されると覚悟しましたが。
「気が利くじゃないか。ホットケーキが決め手だよ」
そう言ってオーナー契約が締結されたと知らされました。
そしてご夫婦も嫌味なく「子供に良くしてくれて有難う」と仰って下さいました。
今では出過ぎた事だと思いますが…
周りの従業員がお子様を無視して、ご両親と離されたお子様の不安そうな顔。
何かしなければ…と思ってしまったのです。
赤ちゃんは泣くのが仕事。子供は風の子。
その子ももう成人した位でしょうか。 
子供には笑顔でいて欲しいのです。

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