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応援のお礼+ご報告+蛇足(令和4年8月22日)

江倉野風蘭です。

身内のTRPGセッションの用意や創作仲間とのお出かけ、アルバイトなど色々あり、ここまでの応援のお礼を申し上げられませんでした。
そこで遅くなってしまい恐縮ですが、ここで三日分のお礼を申し上げたいと思います。

三郎さま、霜月このは様からはハートマークを。
MUNNIN様、@egoma様からは頂けるもの全てを頂きました。

また霜月このは様からは「ハヴ・チェンジド・アット・オール」への応援コメントも頂いております。
本当に、どうして未莉亜も夏海も変わってしまったんでしょうね……?

ともあれ、応援いただき本当にありがとうございます!!

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これはちょっとした事後報告なのですが、「メイジア★プレッジ」の更新時間を朝の6時に変えてみました。
というのも、17時ってもしかしてあまりサイト見てる人いない……? と思ったものでして。
より多くの人に読者となっていただくためには、時間を変えてみたほうがいいのかなー、と思った次第です。通勤・通学の時間帯を狙いますよ~。
1週間ぐらい様子を見て、その結果でまた変えたり変えなかったりするかもしれません。

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さて、ここからは蛇足です。
第3回江倉野創作裏話は……これっ!



「魔法(magick)」



表の社会では実在しないことにされている「科学に基づく超技術」。
人間原理を応用して、一時的に物理法則を書き換える術。
それが魔法、magickです。

現代的な魔法の理論は「基底次元物理学」の知見によって裏付けられたものです。
「基底次元物理学」とは波多陽一郎(はた・よういちろう)という魔術師の手で2001年に編み出された、自然界の4つの力――重力・電磁気力・弱い力・強い力――に「生命体の意志から転ずる高次元のエネルギー」即ち魔力を加えた「超々大統一理論」とも呼ぶべき理論体系のことです。
表社会の科学では2050年現在も超大統一理論が未成立――まだその前段階である大統一理論の研究中――のため、この学問は闇社会でのみ知られた非公開科学です。表社会にこの知識が流出した場合、ANNAの情報部隊により即座に隠蔽処理がなされます。人類社会一般のものとするにはあまりに早すぎる、一種の「オーパーツ」なのです。
逆に言えば、表社会が自力で超大統一理論を完成させ、その先にまで手を伸ばした時、魔法は人類普遍の科学技術となるのです。
この理論の存在が表社会と闇社会を隔てる垣根というわけですね。

今しがた「魔術師によって編み出された」と言いましたが、基底次元物理学と現代魔法理論の確立以前にも魔法使い的なものは存在していました。
それが魔術師です。
彼らは密教、陰陽道、カバラなどといった旧来の神秘思想をベースとした伝統的な異能者で、極めて宗教色が強い人々でした。現実改変現象も神への祈りや真言、儀式など、それぞれの宗教に基づく方法で起こしていたと言われています。
有名どころでは日本の安倍晴明、古代イスラエルのソロモン王が魔術師であった他、魔女狩りで迫害された中世ヨーロッパの女性たちの中にも、少数ながら本当に「魔女」だった者がいたと言われています。

基底次元物理学はこういった古典魔術の知識を総合し、宗教的な要素を科学のタームに置き換えることで成立した、というのが有力な説です。
それらの知識には上述した密教もあれば陰陽道もあり、カバラに錬金術、ヨーガなんかも含まれるわけですが、とりわけ強い影響を及ぼし、理論そのものの中核をなしているものがあります。

それがアレイスター・クロウリーの興した神秘主義的哲学「セレマ」です。

クロウリーは人間が己の「真の意志」に到達するための手段として魔術(magick)を推奨しましたが、彼はこの「魔術」を「意志によって変化を生ぜしめる科学にして技芸」と定義していました。
故にセレマ魔術は科学との親和性が比較的高く、波多も基底次元物理学を成立させる際には「古典魔術を一旦セレマの理論で解釈してから、さらに科学で再解釈する」というやり方をしていたそうです。
2050年の闇社会において「魔法」が「magick」と英訳されたり、ANNAのロゴマークが「クロウリーの六芒星」だったりするのも、元を正せばセレマの影響だと言われています(クロウリーは自らの魔術をmagickとスペリングし、旧来の呪術や単なる奇術と明確に区別していました)。

なお余談ですが、古典魔術は現代魔法に完全に取って代わられたわけではなく、2050年でも連綿と受け継がれています。古典魔術専門の魔術師もまだ相当数いますし、魔術と魔法を併用する魔法使いもいます。ANNAの制式装備にも古典魔術を応用したものがあったりします。
また古典魔術の知識は表社会にもおまじないや呪い、民間療法、季節ごとの伝統行事などといった形で(曲解されて)浸透しています。
これらの“曲解された魔術”は本物の魔術的現象には繋がらないものが大半ですが、中には例外もあるようです。一部の漢方薬がそれです。
漢方薬の作用機序はまだ完全には解明されていないそうですが、表社会の科学でも近い将来に十分に解明可能なものがある一方、作成の過程で魔術的な手法を踏んでいるためそうもいかないであろうものが存在しているのです。
2050年の世界では女性の生理に伴う苦痛をほぼ完全に打ち消してくれる薬が広く出回っていますが、実はこの薬にも(そうとは知らずに)魔術的な手法が使われているとか、いないとか……。

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だいぶん長くなってしまいましたね。
今回はこれで筆を置くこととします。
またねっ!



さーて、ハヴ・チェンジド・アット・オールも全部投げ終わっちゃったし、今度は何を投げよっかなー。

2件のコメント

  • >2050年の世界では女性の生理に伴う苦痛をほぼ完全に打ち消してくれる薬が広く出回っています

    ここだけでも移住したくなる世界……

    そしてmagickというスペル、そういう理由あるのですね納得でした
  • 霜月このは様

    コメントありがとうございます!
    その薬が発表された時、ANNAでは「これめっちゃあからさまに魔術なんだけどどうするよ? 処す? 処さん?」と一悶着あったそうです。
    結局は「でもあったら私たち(ANNA女性職員)もありがたいし絶対使うよな……」となってお目溢し。
    表社会には虚偽の作用機序が公表されて、作ったやつはノーベル生理学・医学賞を受賞したそうです。
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