〈挨拶〉
著者の園山です。
この度は現在連載中の『雨籠もりの吸血嬢』について数点ほど報告です。
〈概要〉
2022年8月中旬から約一ヶ月間ほど連載を停止していた『雨籠もりの吸血嬢』ですが、更新する目処が立ちましたので連載を再開します。
これまで長らくお待ちしてくださった読者の皆さんが喜んでくださるのなら本当に幸いです。
実はこの期間はほとんど本編文章の見直しを行っておりました。
本作は人外ヤンデレ小説の吸血鬼分野における最高峰の傑作にするため様々な工夫が施されておりますが、それを確実なものにするべく何度も推敲と修正を重ねていたのです。
今回行った大規模な修正作業によって、既存の第58話までの一部文章を改修し、更なるクオリティアップと読みやすさの向上を実現しました。
注意していただきたいのが、ストーリーに変更は全くないという点です。もちろん伏線の再設置なども全くありません。
今回の修正作業は、単純に作品文章の読みやすさと登場人物たちの台詞の不自然な言い回しなどを全て直しただけのものになります。一度本作を読んでくださった方が、改めて既存の第58話まで読み直す必要はないのでご安心ください。
ただ、この改修によって、ストーリーとは直接は関係のない吸血鬼・SF・哲学や思想全般の小ネタ等を邪魔にならない程度に少しだけ追加しました。
改修後の最新話にあたる59話及び60話では、ついに本作の謎の核心たる──足のなぞなぞの出典となった物語が明かされるものの、本編自体は更に先の見えない怒涛の展開を迎えていきます。
本作は二・三週目……もっと言うのなら5年後10年後に読んでも楽しめることを目標に、ひたすらに深く、とことん濃い作品にしたいと考えています。
是非とも最後まで応援いただければ活動の励みになります。新たに生まれ変わった『雨籠もりの吸血嬢』を今後ともよろしくお願い致します。
〈補記〉
私事ではありますが、改修(更新停止)期間中は、筆者自身が精神的に少し不安定になっていた時期でもありました。
「こんなハードな作品はヤンデレ愛好層の誰も求めていないし、そもそも理解すらされないんじゃないかしら」と半ば投げやりになっていました。
SF作品のような世界観設定とリアルな観点から考察した人外ヒロインから構築する『世界観×人外ヤンデレ』という自分の作風にもあまり自信が持てず、基盤となるヤンデレ研究に対しても消極的になっており、気分は塞ぎ込んでいました。
というのも、人外ヤンデレ小説の大半が異世界や中世世界を舞台にしたファンタジー作品が主流であり、人外と人間の関係についてヤンデレの視点から現実的に作品それぞれのテーマを考えるというSF的な取り組みをしている人は、少なくとも私の周りには昔も今も一人もいないのです。
園山制作所が初となる独自路線!……と言えば聞こえは良いのですが、実際のところは純粋に私が周囲のヤンデレ創作層から孤立しているだけというのが真実です。そんな自分の考え方や状況、活動自体に嫌気が差していた時期でもありました。
それでも救われたのは、作品の更新が途絶えているのにも関わらず、前作や今作に未だにコメントやレビュー・評価を寄せてくださる読者さんたちの存在が非常に大きいです。
また、デザイン面から園山制作所作品を支えてくださる──キャラクターデザイン兼イラスト担当のくるせらー様、タイトルロゴ担当のElsel様、メカニックデザイン担当のAK_BAN様たち御三方の存在も大きかったです。
せっかく私の作品が「絵」としても生まれて読者さんたちへ届くのに、肝心の本文を書かずに終わるのが情けなく思えて、不甲斐なさや反省の気持ちからきっぱり立ち直れた面もあります。
すべては皆さんのおかげなのです。
本当にありがとうございました!
〈裏話〉
白状すると本作『雨籠もりの吸血嬢』は最低でも十回以上はお蔵入りを検討しました。しかし削除しようとする度、ヒロインの小秋さんが不憫でならず、毎回直前で渋りました。
実は、本作のベースとなったのは園山制作所としては最初期に制作してお蔵入りとなったヤンデレ小説『海上都市のお嬢様は監禁したい。(※1)』なのです。本作『雨籠もりの吸血嬢』を人目に触れないところに沈めるとなると、お嬢様ヤンデレ作品がまたお蔵入りになってしまうという罪悪感が少なからずあったのです。それは絶対に避けないとまずいという危機感もありました。
なにより小秋さんが美人で、私の好みということがお蔵入りを回避した最も強い理由でした。個人的に過去最高傑作のヒロインなので、消すには忍びなかったのです。冷静に見てみると、小秋さんは普通に属性が多いのに世界観としっかり結合しているのでキャラクターとしては全く破綻していません。その完成度の高さに我ながらびっくりしています。
小秋さん、あなたのおかげでもあります。ありがとう!
※1……詳しくは近況ノート【活動裏話 01】
〈おまけ〉
添付した画像はロゴデザイナーの方から当初いただいた作品のタイトルロゴのラフ画。
Elsel様はデザイン関係の知人の中でも、最も長いお付き合いの方です。『園山制作所』というサークルロゴもこの方に作っていただいたものです。園山制作所製ヤンデレ作品のタイトルロゴはお蔵入り・短編も含めて全作品をこの方が担当されています。
『雨籠もりの吸血嬢』の制作が決まったのは2020年冬頃であり、前作『犬人に会う』を同時制作しながら約一年ほどの構想でコンセプトが固まりました。とりあえずデザインから制作を始めようとしたのが2021年11月ぐらいでした。
作品の肝となるタイトルロゴを最初に制作してもらうべく、簡単にまとめた世界観やストーリーをElsel様に送り、ラフデザイン画として送り返されてきたのが下記添付のふたつの案。
漢字の「雨」を傘に見立てたデザイン、「血」から血液が滴るデザインはすごかったです。しかし、私はどうしても例のお蔵入り作品『海上都市のお嬢様は監禁したい。』が忘れられなかったので、ラフデザイン画の修正をお願いしました。フォントの文字をそれらしく作り直していただいたのです。
その結果として、現在の『雨籠もりの吸血嬢』の表紙絵で扱われるロゴデザインが完成。
『人外ヤンデレSF』シリーズの第2作目となる作品が生まれたのでした。
〈デザイン制作スタッフ〉
・ロゴ:Elsel 様