東日本大震災から14年の月日が流れました。
忙しい毎日の中でつい記憶から抜け落ちてしまいますが、「震災が起きた日」として毎年黙とうを捧げたり、各メディアで取り上げる習慣があるのはとても大切な事だと思います。記憶を風化させない事、そして防災に対する意識、対策を練るきっかけができる事で、自分の命、そして大切な人の命を守る事ができるのです。
先週NHKで再放送していた番組で、「風の電話」を取り上げていました。
これはいわゆる電話ボックスなのですが、被災地に住む方が個人的に設置したものでした。元々、震災が起こる1年前に亡くなったいとこと話をする為に設置したものでしたが、震災が起こり、被災者の方々に解放したのだといいます。
番組では、風の電話を利用しにやってくる被災者の方々を取材していました。
電話はもちろん繋がりません。でも皆受話器を耳に当て、亡くなった家族と話をするのです。息子、両親ともに亡くされた方は、「生きている意味がない。辛すぎてすべて忘れてしまいたい。でも忘れてしまったら、彼らが確かに生きていたという証がなくなってしまう。だからこれからも思い続けるんだと思う」と語っていた。
ある少年は、亡くなった父に対して「何で死んだんだ。(学校の他の子の家族は全員無事だったのに)何で俺だったんだ」と怒り、泣いていました。
また家族と共にやってきた少女はボックスの中に入る前は気丈に振る舞っていたのに、受話器を耳に当てた瞬間に泣き出してしまいました。
震災直後は皆混乱していて、何もかもが不足し、自分達が生きていくので精一杯。気丈に振る舞わなければならず、感情を表に出す事も叶いませんでした。過酷な被災地での環境や、泣いても返って来ない、強く生きなければ、という気持ちが先攻してなかなか吐き出す事ができなかったと思います。しかしこのような媒体がある事で自分の気持ちを吐き出し、感情を表に出す事ができ、被災された方の支えになったのではないでしょうか。また、亡くなった家族と話す事で心にため込んでいた悲しみ、苦しみを吐き出して過去に囚われていた気持ちを前に進める事ができたかもしれません。
また父親を亡くした少年は母親に甘え、「いなくならないでほしい」と呟いていました。大切な家族や仲間がいてくれる事は当たり前ではない。突然いなくなってしまう事だってある。そして自分も。
だからこそ、いてくれる事に感謝して大切にしないといけないと思いました。そばにいないなら、後悔しないよう定期的に連絡をとったり、会える時に会う事も大切だと思います。
そしてこの震災を受けて最も大事なのは防災の意識を持ち、対策をする事だと思います。大切な人、そして自分自身を守る為に、後悔しない為に、今できることを個人レベルでやるべきです。南海トラフも来ると言われていますし、準備を行うのは今です。悲劇を繰り返さない為に準備をしましょう。防災のバッグを一つ持っておくだけでも違います。今ネットでも揃えられます。
最後に震災で亡くなられた方々に深い哀悼の意を表します。