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【600PV突破記念】アレックスのキャラクター造形について

この度、拙作『PEAXION-ピージオン-』のPV数がなんと600を突破してしまいました!本当は500区切りで近況ノートに何か書こうと思っていたのですが、書く内容を考えているうちにPVが+100上乗せされていたものでして…すっかりタイミングを逃してしまいました。これは大変嬉しい事件です。

星やレビューなども沢山頂いてしまい、更には(本日の時点で)SF週間26位と月間40位、さらにさらに今まで圏外だった累計ランキングにも210位でランクインと、自分史上最高の好評っぷりときています!
もう感極まって、Mark 定まって、Feel 高まって、Mark 定まっちゃってますよ!(angelaさん風に)

物書きとして、多くの人に読まれるというのは、これ以上ない幸せです。
この場を借りてお礼をさせて頂きます。



さてさて、今回はPVを祝してというわけではないですが、少々自キャラの生い立ちについて語っていこうと思います。あ、ここでの“生い立ち”というのは作中世界でのキャラクターの出生という意味ではなく、外部から見てキャラクターが如何にして創作されたか?…という話になります。ちなみに今回スポットを当てるのは『PEAXION』の主人公、アレックス=マイヤーズです。

これを読んでいる方はもう既に察しているかとも思いますが、私は大のロボット好きでして。幼少期の頃に『劇場版ガンダム』のビデオを父親に観せられ、やがて年齢を重ねるにつれてガンダムを愛して止まない人間……所謂ガノタになり、それが順当にロボ全般へと視野が広がっていった……という具合です。うん、まるで成長が見られませんね!

そんな痛々しく育ってしまった東雲クソザコナメメクジことワタクシですが、星の数あるロボットアニメの中でも、一つだけ大嫌い……というか、どうしても許せない要素があったんですよね。それが『不殺主義を掲げる主人公』でした。

(具体的な年齢はあえて伏せますが)少年だった頃の私は、『某リアルロボットアニメシリーズの21世紀版スタンダードの続編』を、そりゃあもう毎週楽しみに視聴しておりました。というのも、同作の主人公である赤い服の彼に、とても感情移入しながら応援していたんですよね。搭乗機の格好良さもさることながら、何より彼のメンタリティが自分と非常にマッチしているように思えてしまえて…。当時の私にとってのヒーローだったといっても過言ではありません。

まあ、彼の結末は…皆様のご存知の通りです。少年だった頃の私のヒーローである彼は、話が進むにつれ雲行きがどんどん怪しくなっていき、遂に最終回では画面の中で見事に朽ち果ててしまいました(笑)

そんなこんなで、まだ青臭かった私は相対的に某やめてよね氏が大嫌いになってしまいました(ファンの方は本当にゴメンなさい。しかし、私とて人間ですし、何よりまだ若かったのです)。『不殺主義』を許せなくなったのもその頃からですね。

“では、どのような『不殺主人公』なら許されるのか?”
この疑問が、後々のアレックスのルーツとなります。
不殺という言葉の響きは確かに心地よいですが、本当にそれが正しい行為であるかと言われると頷きかねますよね。『相手を殺さない』という選択はイコール『敵を生き延びさせる=未来を与える』という意味も含んでおり、巡り巡って自分が生かした敵兵が味方を殺してしまう危険性も十分に孕んでおります。たとえ不殺をする側の人間が「そんなリスクは承知の上だ!」と言ったところで、周りがそれを容認するわけがない。結局、不殺というものはただの自己満足に過ぎないんですよね。

さて、ここまで散々に不殺を批判してきましたが、勿論良いこともあります。わざわざ説明する事でもないかもしれませんが、人の命とは非常に重く、価値のあるものです。それを奪うというのは、何か特別な事情でもない限り誰だって避けたいでしょう。

しかし、現実はそうもいかない。例えば、戦争のような極限状態に陥ってしまえば、『殺さなければ殺される』という状況も十分にあり得るわけです。そんな中で、もし味方の部隊に『俺は敵を殺したかねぇ!』なんて我儘を言う輩が出てきたりしたら、溜まったものではありませんよね。

“不殺は他人の為に行うもの”
“しかし不殺は他人の為にならない”
“では、不殺はやはり自己満足…?”
“だがしかし、人を殺すのはやっぱり良くない”

このように自問自答を重ねていくうちに、自分の中で“不殺主人公に対する一つの解”として生まれたのが、アレックス=マイヤーズというキャラクターです。彼はいわば、私の嫌っていた『不殺主人公』の、その理想像というわけです。
ですが、本編を読んでいる方はわかると思いますが、現時点で彼の掲げる『平和主義』や『不殺主義』はまだ完全ではありません。そこはストーリーが進むにつれ、彼は長い旅路を経て、いずれ完成されたものへと昇華させていくこととなります。

『殺すことこそ自然』と思う方も、勿論いらっしゃるでしょう。そういう方は、きっとアレックスというキャラクターをあまり好ましく思っていないかもしれません(寧ろ、私がその一人ですらあります)。ですが、戦争において人を殺すのは当人達であり、彼らにも個人としての感情や主義が当然ながらあるという事を忘れてはいけません。

故に、『PEAXION』も不殺一辺倒の作風にならないよう、群像劇という舞台を用意しております。紹介文にもあるように、この作品には様々な“戦争に対する価値観”を抱いた登場人物たちが今後も沢山登場しますので、アレックスに感情移入ができないという方も、自分と似通った主義主張を持つキャラが一人くらいは居ると思うのでまずはそれを見つけてもらって、重ねて読んでくだされば幸いです。

長くなりましたが、『PEAXION』の物語はまだまだ続きます。一先ずは、アレックスとはまた異なる価値観を持ったナット=ローソンが実質の主人公を務めるVol.02がまもなく完結致しますので、そちらのほうを是非楽しんで頂ければと思います。

以上、東雲メメでした!

P.S.好きなガ○ダム作品はXとVです

4件のコメント

  •  アレックス君のルーツが、東雲さんがむしろ嫌っていたキャラクター像にあるというのは、なかなか衝撃でした。
     でも、だからこそPEAXIONという物語の中にそのイメージを落とし込んでいくことに意味があるんでしょね。

     この近況ノートは、「なるほど!」と思いながら読ませて頂いた次第です。こうしてキャラクター像について突っ込んだ事が書けるというのは、人間ドラマ・群像劇に真っ向から取り組んでいるPEAXIONらしいなと。
     非常に面白かったです!続きも楽しみにしています。

    P.S.特に好きな○ンダム作品は00と0083とMSiglooです
  • 鉄機さん

    やはり私がアレックスを嫌っていたのは意外でしたか笑
    この作品を書いている上で最も恐れていたことの一つでもあるのですが、本作は必ずしも『平和主義を支持する』作品ではないんですよね。アレックスを主人公として掲げていると、その辺が誤解されてしまいそうなので笑
    なのでアレックス君には今後も様々な敵味方キャラか痛烈な批判を浴びせられて、それを受け止めた上で成長していって欲しいですね。というか、その様に描く所存です。

    僕もいつかアレックスを好きになれるように努力していこうと思います。今の所は憎しみを超越し愛憎となっている段階です
  • こんばんは、お初にお目にかかります。
    脈絡のない突然のご挨拶となりますがお許しください。

    つい先ほどまで錆色ロボットシリーズを興味深く拝読させていただいておりました。シリーズ1作目はすでに何人もの方がレビューで仰っているように、短編という決して多くはない分量から覗ける近未来ゆえの哀愁が印象的でした。登場人物は年が両極端で世代的・能力的に深く話が通じ合わない二人、しかし根底で心のつながりを見つけた我島お爺ちゃんが思わず笑みを零して幕引き。第二作目では、時は流れ、さらに詳細な世界観が明らかになったりゆかりのある人物が登場したり。読ませる力の強い作品だと思いました。また覗かせてもらおうと思います。

    ところで作中のパロディや近況ノートから東雲様はガンダム好きを公言していらっしゃいますが、ちらっと「その他の作品」への造詣が深いことも示唆されていたり......
    いえ、私の早とちりというか勘違いだったら大変お恥ずかしい限りなのですが、「光子郎」や「鉄也」という名称がマジンガー由来かもと初見で思ってしまい、いてもたってもいられなくなってしまいまして......笑
    「地中帝国から現れし機械魔獣!」は怪しいところですがDr.ヘルとか暗黒大将軍がパロディの根底にあるのかなあ、なんて。邪推だったら申し訳ありません。

    PEAXIONという作品の方も、時間のあるときに是非拝読させていただきたいと思っています。1エピソードあたりの分量が多いのは人を選ぶのかもしれませんが、私はそのようにして執筆を継続できる方を羨ましく思っています。どうしても分割・パート分け・章立てが付いて回るこの世界で、満足のいく分量を1話としたまま読者の方についてきてもらうというのは難しいことですから。東雲様のこれからの益々のご活躍を陰ながら応援させていただきます。

    それからアレックスへの想い、愛を超越して運命となることをささやかながらお祈りいたします笑

    以上、長文乱文の連なりで、お目汚し失礼しました。また何かご縁があれば是非よしなに。
    それでは *' ˘ ')ノ
  • 玫瑰渚さん

    はじめまして!コメントありがとうございます!

    錆色ロボットを読んでくださったとは……感無量であります……ッ!
    ご指摘の通り、「光子郎」や「鉄也」という名称はご存知マ◯ンガーシリーズが由来しております笑
    他にも様々な作品のパロディや小ネタを台詞から地の文の端々にまで随所に仕込んでおりますので、そこも読む上での楽しみにしていただければと思います!

    PEAXIONは1エピソードが7000字前後とweb小説にしてはやや多い文量ですので、時間に余裕がある際にのんびりと読んでいただければ幸いです!
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