コント台本を書きました。
作品ページを作って発表するのが面倒くさかったのでここに貼っておきます。
小劇場演劇の公演終わりに主催兼脚本家の男と、観に来た小説家の男が話しているという設定です。
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【演劇】
作家「面白かったよ」
劇作家「ありがとうございます」
作家「最初ヒロインに突拍子もないこと言わせて笑いとって、後でちゃんと伏線張った上でもう一回まったく同じ突拍子もない台詞で伏線回収して二度笑えるって構造がね、良いよね」
劇作家「やめてくださいよ、分析するの」
女優「なんの話?」
劇作家「いいよ、お前にはわかんない話」
女優「はぁ? 売れてないでしょ? そいつ」
劇作家「そこそこ売れてらっしゃる」
作家「そこそこ」
劇作家「あと大学時代の先輩がわざわざ観に来てくださったんだから失礼なこと言うなよ」
作家「そこそこ……」
劇作家「あ、いや。すみません」
作家「いいけど」
女優「そこそこって言うけど、私その人どこの劇場でも見たことないけど」
劇作家「小説家だから顔は知らなくていいんだよ。役者じゃないの」
女優「へー、小説家なんだ。私、バイクで来てるけど、そいつ徒歩で来てたよ。駅から歩いてるの途中で抜かしたから」
劇作家「電車よりバイクがえらいみたいな価値観はないんだよ。役者が主催に媚び売りに来てると勘違いしてつっかかったんだろ? 謝りなさい」
女優「…………ごめんなさい」
作家「いいですよ、別に」
女優「で、なんの話?」
劇作家「そっからかよ。俺の作品の分析の話だよ」
作家「同じ台詞を2回違う場面で使うの上手いねって」
女優「作品の分析くらい私にもできるよ」
劇作家「できないだろ。台本書いたことないんだから」
女優「できるって」
劇作家「じゃあ、分析してみなよ」
女優「キッチンで後ろから抱きつくシーン。あれは劇作家の実体験。しつこいからカレーが焦げた」
劇作家は女優の発言を無視する。
劇作家「先輩、飲みに行きますか」
作家「実体験を作品に反映するタイプの作家いるよね」
女優2「なになに何の話?」
劇作家「なんの話でもないんだよ。物販立ってなさい」
女優2「もうお客さんみんな帰りましたよ」
劇作家「じゃあ掃除してなさい」
女優「今回の台本の分析してたんだよ。キッチンのシーンは付き合ってる彼女がカレー作ってるのを後ろからちょっかい出した時の実体験が反映されているよねって話」
女優2「あー、でもそれカレーじゃなくてシチューですよ。台本にしちゃうの内緒なのかと思ってた」
女優「は? カレーでしょ」
女優2「シチューですよ」
作家「同じコミュニティで二人と付き合っちゃう作家いるよね」
劇作家「えーっと飲みには……行けないかな」
劇作家が両腕を掴まれ、舞台袖に連れて行かれる。
作家「帰るか。終わってからの方が演劇みたいだったな」