凛

雨の夜は、雨の嫌いな上司が車で家まで送ってくれる。

携帯電話を買いに来た教師と、店員の元生徒のお話。

ある春の休日、何の変哲もないふたりのお話。

とあるアンティーク店に、一つのフランス人形がありました。

遠い夏の日の、淡くも鮮烈な、とある記憶の物語。

ゴミ箱に捨てられた、哀れな花を見つけた。

一人暮らしを始めて三年。 洗濯物を干しながら、ふと思い出すは過去の記憶。

「あなたの、家族に会いに行くのよ」 そんなよく分からない言葉とともに連れ出され、わたしは電車に揺られる。訝しさと不安と、少しの期待を胸に秘めて。

わたしこと一之瀬ゆかりの日課は、街中の大学で准教授をしている駒込榊のお世話係をすること。十五も年上の彼とこんな風に一緒に過ごすことは、わたしにとってもはや当たり前のことで。こんな…

空はいつでも見ている。生きる人間たちの姿を。そして、空は時に映し出す。生きる人間たちの心を――。 これはいろいろな『空』の下で繰り広げられる、若人たちの青春物語。 ※一話ごとに視…

その部屋へ行くと、必ず彼女がいる。 そこは私にとって唯一の癒しであり、リラックスできる場所だった。

友人として接してきた彼女に、本当はずっと前から恋焦がれていた。 わたしは……『おかしい』んだ。

学生時代に書いた俳句、短歌…はごく一部です。 大半が、もう少し後になってから書いた『自由律俳句』の吐き溜め場になります。 恐ろしいほど暇な時にでもご一読いただければ。

――悪意ってのは意外と、身近にあるのかもよ？　みんな、隠して生きてるだけ。 税理士補助の宮代亮太がある日出会った、黒いワンピースの女。 彼女――新藤香澄が現れたその日から、亮太…

『またいつか、きっと会いに来るよ』 それはほんの短い間の他愛もない出来事で、ほんの些細な約束事。だけど彼は確かに初恋であり、彼の告げた言葉は絶対的なモノとして、ずっと記憶に残り続…

梅雨のある日の一コマ。

わたしは母が好きではなかった。ぶっきらぼうだし笑わないし、わたしに毎日愚痴を聞かせてくるから。 だけどある出来事をきっかけに、わたしは母の本当の想いを知ることになる……。

どうすることが、自分にとって一番の幸せなのか。 欲求に忠実になるべきか、世間のルールにのっとるべきか。はたまた、相手の気持ちを尊重し、その幸せを願うべきか――……。 やりきれない…

人間は中身だなんて、みんなは言うけど……所詮は、顔なんでしょ？ こんな私のことなんて、誰も選んでくれないんだ。 っていう女の子の、恋のお話。

およそ十年ぶりに、実家のある下関へ訪れ――……亡き父の、面影をみた。 ※作者は下関へ行ったのがずいぶん昔のことでございまして、ほとんど当時の記憶がありません。なので風景描写が多…

従兄の結婚式に招待され、久しぶりに集まった家族とともに向かう。 けれどわたしは、いまいち気分が乗らないでいた。

あまり知られていないかもしれないが、福井県と京都府は、実は隣同士。 これはそんな一福井県民の、京都に対する憧れをただ綴っただけのエッセイ的なもの。

故郷の田舎町と、蛍と、一組の夫婦のお話。

とある国の伯爵様が、海岸で人魚を拾うお話。 『表』だけでもお話としては楽しめると思いますが、『裏』をお読みいただくと少し見方が変わるかもしれません…。

わたしこと村瀬瑞希は、男の子同士の恋愛に萌えを感じるという少々特殊な性癖（？）を持つ女子高生です。そんなわたしが、ある日クラスメイトの佐倉直生くんにこんな相談をされてしまいました…

とある女の子が記す、勿忘草の成長と自身の日常。

初めはただ憧れだった。あの人のように、煙草の似合う格好いい大人になりたかった。 ――それだけだった、はずなのに。

毎年夏になると、わたしは親戚と一緒に花火を見る。だけどその年の夏には、一つだけいつもと違うことがあった。

生まれた時から、ずっと一緒のあたしたち。 だけど、一生傍にいることは、きっとできないから――……。

『これから、ドライブにでも行きませんか』 可愛い後輩からの誘いに乗ったわたしが連れて行かれた先は、人気のない夏の夜の海だった。

私がこれまで書いた中で、気に入ったお話だけをピックアップした短篇集です（タイトルに関して特に意味はありません） ジャンル、時代設定等は様々ですが、多分現代モノか恋愛が多くなると思…

とある街のあちこちで繰り広げられる、恋の物語。1話、もしくは1章完結型です。 全部通すととてつもなく長いのですが、一応どこか好きなところだけ読んで頂いても構わない仕上がりになって…

卯のはなのうき世の中のうれたさにおのれ若葉のかげにこそすめ ――樋口一葉日記『若葉かげ』より 時は明治。 物書きにて生計を立てようと決意した奈津は、或る男性小説家のもとに弟子入…

とあるアパートが、住民確保を目的としたキャンペーンを行うことになった。内容は、いわゆるルームシェアである。 そのお得ともいうべきキャンペーンに、それぞれの事情、そして思惑を胸に秘…