• エッセイ・ノンフィクション
  • 異世界ファンタジー

ルイジ・マンジョーネくん

日本では大保険会社のCEOを射殺した疑いで逮捕されているルイジ(26)くんについては、どのくらい報道されているのかわかりませんが、アメリカのSNSでは彼の話題でいっぱいです。
客観的に見ても、ほとんどが同情的な内容に思えます。
彼のルックスとか、理想的な青年であったこともありますが、多くのアメリカ人が医療保険について不満をもっていても、大会社に対しては何も言えなかったのに、彼が突破口をひらいてくれたからです。SNSでは彼を「救世主」や「スーパーマン」として加工した動画もたくさんアップされています。

アメリカの保険は日本とは違い、人々は個人で保険会社と契約します。車の保険のようなもので、それはけっこう高額です。しかし、実際に病気になった時、三分の一、ある時は六割が拒否されると聞いています。時に、難病とか、シニアの医療が必要な人達に対して。

テレビに出ていた家族は一ヵ月二千ドルも払っているのに、子供が病気になっても、その治療を拒否されたと言っていました。だから、治療をするためには、家や財産を手放すことになるのです。これでは、何のための保険でしょうか。

大手の保険会社は何兆円という利益を上げているのに、会社としては「Delay Deny Defend」 つまり、クレームは遅らせ、拒絶し、弁明するのがモットーで、最も多くを拒絶した人が優秀社員として称えら、そういう人がトップになるわけですから、人の命や苦しみより会社の利益第一です。

そういうわけで、CEOを殺害したのはもちろん悪に決まっていますが、保険を拒否されて死んでいった人は数知れず、この社会では、そういうジレンマを抱えて生きている人が多いのです。

彼の場合には連邦法と州法の両方で裁判が進められるそうで、国は「殺人」と「恐怖を巻き起こすのが目的だった罪」で、死刑を求めていく方針のようです。
ルイジくんがこれから、法廷で無罪として戦うのか、刑期はどうであれ「保険会社の悪を訴える」ことが目的なのか、そこはまだわかりません。
まだ何もわかりませんが、私がもし優秀な弁護士(この頭では無理ですが)ならよかったのにと思います。彼を弁護したかったと思うのは、私だけではないでしょう。








2件のコメント

  • おはようございます。

    残念ながら、テレビを見る時間が限られているせいか、テレビニュースでは見たことが無いですね。
    Yahoo!ニュースで概要は知っていましたが……

    日本でも展開している保険会社ならマスコミが忖度して『報道しない自由』で報道していない可能性があります。

    日本の保険会社でも時々、不払い問題がありますが、サラリと報道するだけですね。

    日本の自治体も『水際作戦』とかで生活保護申請の書類すら渡さないで断るケース(違法)や群馬県桐生市のように勝手に減額しているケースもあるようです。

    人の痛みを無視して自分たちの利益しか考えてない人々が居るのは悲しいと思います。
  • その事件は知らなかったです。
    やっぱり国民皆保険はありがたいなと思いました。そういう制度がアメリカにありさえすれば、保険会社の独り勝ちが減ってそういう悲劇も起こらなかったのにと思います。
コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する