鳥路

高校一年生の私は寄り道をした際に、おばさんから声をかけられた。どうやら一緒にいる外人のお姉さんを市街地方面にあるホテルまで送り届けてほしいらしい。 英語が喋れないと訴えても案内役…

「お前をパーティーから追放する！」 そうして始まる追放された人物の成り上がり物語ってかなりの数が存在している。 私が「向こう」で生きていた時の話、だけれども。 しかし私は思うのだ…

２００年前、私達が住むアルグステイン王国は夜の魔王に襲撃を受け、太陽の恩恵が得られない「常夜の国」へと変貌を遂げ、周辺は近づいた者から何か一つ奪い去る「略奪の霧」に囲まれた。 か…

何てことない、退屈な日常がこれからも毎日続くと思っていた。 教室が謎の光に包まれて、知らない世界の森に放り出される、その時までは。 天使風翔は、謎の現象で知らない世界に放り出され…

「愁一と久遠が建て、二人が死んだ家を取り壊す」…両親亡き後、育ての親をしてくれている戸村夏乃からそう伝えられた椎名譲は夏乃から「取り壊す前に実家をきちんと見て欲しい」と頼まれた。…

時は昭和初期。 震災から復興した帝都では、演劇が盛んに行われ…数多の劇団が旗を揚げていた。 しかし帝都といえども広くはない。時間も場所も、演者どころか客すらも限られているこの場所…

俺たちが通う海園高校の生徒会長は「雪時香夜」。二年生で生徒会長を務める彼女は非の打ち所が見当たらない完璧な少女・・・というのが、世間の評価だ。 そんな彼女と四月からよく一緒にいる…

片付けなければいけないことを終えて、落ち着きを取り戻していたある日。僕の元へ荷物が届いた。 予定通りに届けられたその荷物の中身はDVD。早速、送り主との約束通りDVDに収録された…

３月３１日。それが、俺たち２人の誕生日。 同じ年の同じ日、同じ場所で、同じ時間に産まれた子供。 お隣同士の子供たちは１７年間、姉弟のように一緒に育ち、大きくなった。それが俺たちの…

軽くウェーブが入った薄茶色の髪と海色の瞳。 ５０ｃｍほどの大きさで、関節が球体になっている女の子。 彼女こそ我が家の同居人「アイレ」・・・いわゆる「ドール」という存在だ。 ひょん…

観測記録をまとめる仕事は年中無休。たまには休みたい管理者さんはレコードを用意して、自分が休んでいる間はそれを再生してもらうことにしました。 これは、彼の休息と物語に生きる「彼らの…

修学旅行と言えば一回ぐらいは経験があると思う なぜか売ってあるドラゴンが巻き付いた短剣のストラップ 俺はそれ・・・ではなく、その隣にあった健康長寿のドラゴンの置物をじいちゃんのお…

九重家の一番上の子供たちは、三つ子の兄弟です。 長男の「一馬」次男の「双馬」三男の「深参」。髪の色も目の色も同じ。見分けるポイントはアホ毛の向きと、前髪のハネ方ぐらい。 得意こと…

不幸と幸運のバランスは、最終的に釣り合うものになる。 そんな幸運を意識的に引き出す・・・いわば「前借り」できる体質を持つ「雪時香夜」は志望していた大学に合格し、幸運の渦中にいた。…

ご令嬢しかいない孤島の女子高「法霖学院」 そこに通う彼女たちには、生活を支える使用人が必ず一人ついている。 そしてそんな使用人たちには、学期が始まる前に健康診断を受けることが義務…

勤め先の小学校に不審者情報が入って対処に追われた深夜。 小学校教師の一葉拓実は、市内の巡回を終えた後、自宅への帰路を歩いていた その途中で、出会うとは思っていなかった人物と遭遇す…

とある金持ちが莫大な資金を投じて作り上げた人工島「銀花島」 金持ちの令嬢しか集まらないようなこの島に、俺「穂積砂雪」は今、雇い主であるお嬢こと「岩滝咲乃」と共にやってきていた。 …

高台に存在している、冬月屋敷。広大な庭には花々が咲き誇り、家は常に真白の壁が保たれるように掃除がされている。 しかし、それは現在進行系で汚山へと変貌していた。 これは、整理整頓は…

授業すらまともに行われない不良高校に、とある事情で十二歳で高校生をやる羽目になった卯月東里と、一浪して十八歳の高校二年生をやっている巽夏彦は、毎日騒がしい環境で普通の高校生活を過…

児童養護施設で暮らす山吹尊は、趣味で作家をやっている野坂陽彦という同居人兼親友と毎日賑やかに過ごしている。 これは、とある放課後。締切直前で疲労が溜まる陽彦をおんぶした尊は、とあ…

メールなどのやりとりが増えた影響で、最近は見かけることが少なくなったハガキ。 僕が小学生の頃には、まだハガキがよく届いていた印象があったりします。 これはそんなハガキ・・・それも…

暑さが厳しい真夏の日。僕は冷房が効いた取調室にいた。 こんにちは。仕事関係で色々あって取調室に入ることになった哀れな社畜です。 実際の事件に巻き込まれて、事情聴取で取調室に入る機…