こむら川小説大賞、参加された方々、常連の人たちや講評された方々、全感想ひた走った方まで皆さんお疲れ様でした!!
書き上げてから一つ一つ読んでったのですが、もーものすんごい濃い…あらためて本物川のポテンシャルとカクヨムの深淵を思い知らされました
レディウルフにodd essay、velichenさんやメリークソビッチポピンズと大吟醸で今回絶対無理だろ…となり、案の定という結果でした。。。
また、今回は自作解説をあらぬタイミングでテンションが上がりぶち込んでしまい評議員の方々にはご迷惑、ご不快な思いをさせてしまい申し訳ありませんでした。。。
今回頂いた講評としてはよく言えば続きが気になる。悪く言えば完結感がない、という事だと理解しました。1万字というレギュレーションに対する意識が甘く、読んでくれる人に対する配慮が足りなかったな。と反省してます。。
世界観は広げて広げて畳むまでが小説ですね。
以下、評議員さんの方々に頂いた講評です。ありがとうございました!!!
55.アイリーン・F・ウッド/藤原埼玉
謎の有袋類
本物川小説大賞や偽物川で吸血鬼好きや人外好きの心を撃ちぬいてくれた藤原埼玉さん…。今回は魔王ですよ…。
異世界ファンタジーのスピンオフ作品といった趣のあるこの作品は、ひとりの少女が魔王の座に君臨するまでのお話なのですが、これは本当に本編(幻覚)と合わせて中編~長編でじっくり読みたいなと思いました。
謎が多く残されていることや、多分アイリーンがシルヴィアに残した聖剣が勇者の持つ剣になって彼女を殺しに来るんだろうなみたいなストーリーがあるんだろうなという強めの幻覚を見るための下地はばっちりといった感じの良い異世界ファンタジーでした。
一万字上限という今回のレギュレーションに対して少しだけ物語の規模が大きいせいかところどころ「もう少しこの世界のことを知りたいな」となる部分が発生してしまうのですが、それもキャラクターや世界観に魅力があるということ…。
出来れば魔王アイリーンが倒されるまでのお話も読んでみたいなと思いました。
謎の闇鍋
《「お前に不死たる聖なる病を授けよう」――魔物が人家を襲い国の助けも途絶えつつある時代、架刑の天使とみえる何者かに呪われた少女は、やがて血濡れた玉座に辿り着く。》
絵力とエモが少女の姿でやって来た。赤黒く小さな足跡と、虚空より滑り出る剣の音を連れて。……という印象でした。
お話のサイズに比べて、回収がないのにひどく印象的なのがシルビアに手渡した剣のことです。シルビアはアイリーンを慈しみ愛した人々のうちで、生きてアイリーンに救いのあらんことを祈る唯一の人間。二度と相見えることはなくとも渡された剣を疎かに扱うことはよもやないでしょう。シルビアが死んでも聖なる病に冒されたアイリーンは生き続け、やがて願いの通りに彼女を討ち果たす勇者はシルビアから伝えられた剣を掲げて現れるのではないか? アイリーンは自ら準備した自死の仕掛けがきちんと帰って来たことに、シルビアやアイルの思い出との再会に微笑むのではないか? そんな遠い未来を幻視してしまうような物語でした。本人が望んでそうなったのではない魔王、キャッチコピーの『愛が少女を魔王にした』があまりにも悲しいお話。けれどもどこか美しかったです。
謎の有袋類
僕と闇鍋さんが同じ幻覚を見ていて笑いました。絶対これは本編(幻覚)で魔王に対抗する唯一の武器ですよ。
謎のギガウサギ
私の中でのアイリーンといえばシャーロック ・ホームズのアイリーン・アドラーとブラッドボーンの烏羽の狩人、狩人狩りアイリーンなので、アイリーンという名前の時点で「あなどれないやつ」みたいな偏見があるのですが、それどころではありませんでした。
無限の剣製ばりに剣に特化した神様ということで、彼女が遭遇した暴力を象徴しているのでしょうか。一振り残された聖剣とシルビアの行末が一番気になるところです…これはどう考えてもシルビアの子孫が勇者になり魔王自身が作った聖剣で滅ぼす流れ…一番のエモい部分はそれを想像させるところかもしれません。
異世界もので短編をやろうとすると世界観が置いてけぼりになりがちではあるのですが、ゴルゴタやロンギヌスの文字列からするともしや現世界の過去? その辺りも描写があると嬉しいと思いました。