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【作者フォローお礼企画・第四弾】SS「委員長、芝崎鏡子」

こんにちは、佐橋です。

いつも応援ありがとうございます!

作者フォローしていただいている方への還元企画SS「陰キャ女子たち~」第四弾です。

先に本編をご覧になっていない方は、先にそちらからどうぞ!

まだ作者フォローされていない方も、これからもこういった企画をしていきますので、ぜひフォローよろしくお願いいたします。

それではお楽しみください。


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 芝崎鏡子。

 大多数の人々からの彼女への評価は、真面目でリーダーシップがあり、思慮深いなどといったところだろう。
 実際、学校では班長や委員長など誰かをまとめる係になることが多かった。

 だが、彼女をよく知る幼馴染4人からの印象は異なる。

 優しくて恥ずかしがり屋、アニメ好きで話をしだすと止まらない子、といった具合だ。

 彼女の好きなアニメは『へべけれ亀子』というお色気もの。
 鏡子の真面目な側面しか知らない人にとっては、腰を抜かすような内容だろう。

 もちろんそれ以外のものも観るが、やはりお色気系が多くなる。

 なぜ彼女はこれほどまでにお色気アニメに興味を惹かれるのか。

 鏡子の観るお色気アニメは、決まってヒロインが主人公にアタックするもの。
 逆に主人公がヒロインに迫るものは観ないのだ。

 ここに彼女の求めているものがわかるだろう。

 そう、鏡子は自身ができないと思い込んでいた行動をやってのけるヒロインに憧れているのだ。

 男性と関わったことのなかった彼女が、グイグイとアプローチしていくヒロインの姿を観て、夢と勇気をもらっていたのである。

 無論、スケベ心があるのはそのとおり。

 好きな男子ができてからは、主人公を彼に、ヒロインを自身に置き換えて妄想ばかりしていた。

 その男子こそが、神瀬遊里。
 現在は彼女の恋人でもある彼である。

 恋人になってからは、アニメ鑑賞を一緒にするようにもなっていた。

 今日も『へべけれ亀子』を彼の隣で観ている最中。

 定番のお色気パートが流れ出すと、二人のあいだにも妙な空気が流れ出す。

「膝枕をしながらキス……なるほど。私たちもやってみましょうか」

 アニメの中の出来事と同じようにして、彼を膝枕する。

 そして身体をスリスリと触りながら、深くキスをした。
 舌を当然のように絡ませ、劇中以上のことをする。

「……どうかしら? ドキドキする?」

 そう赤くした鏡子が問うと、彼は照れ笑いを返すのであった。

 その表情を見て、彼女は追撃と言わんばかりにキスをする。

 もうテレビ画面に目をやることもなく、その眼中には彼しかいない。
 息を荒くしながら、ひたすらに可愛がる。

 彼が胸に対して興味を持っているのはよく知っていた。

 添い寝をしているときも、お風呂に一緒に入っているときも。
 気がつけばその視線は鏡子の大きな胸に注がれるからだ。

 今回もまた見られていることに気づいた彼女は、色っぽい目をして彼に話しかける。

「またそんな目をして……。ほら、顔に乗せてあげるわ。ふふっ……」

 豊満な胸を彼の顔の上に乗せ、優しく頭を撫でる。

 以前の鏡子にとって、大きな胸は邪魔なものでしかなかった。

 大きすぎて肩が凝る上に、夏場は蒸れて仕方がない。
 下着のサイズも合うものが少なく、デザインも限られてくる。

 他の女子からは羨ましがられるものの、本人としてはあげられるならあげたいと思うほどに疎ましく思っていたのだ。

 だが、彼と出会ってからは変わった。

 夢中に求めてくれる彼に、鏡子は嬉しくなってその柔らかさを堪能させたくなるのだ。

 また彼女は彼と一緒にいるとき、お姉さんのような口調になる。

 それはお色気アニメに登場するキャラにお姉さんが多いからということもあるが、甘えてくる彼を見るとついそんな口調になってしまうのだった。

 彼女はよく口にする。
 破廉恥なことはいけない、と。

 あれは他者に対して言っているように見えて、その実は自身に対して言っているのだ。

 周囲から『真面目な芝崎さん』を求められている自分が、いやらしいことを考えるなんて言語道断だと。
 そんな状況になってはいけないのだと。

 周囲からの期待に応えようとする思いから、口をついてしまう言葉。

 だが今ではもっと自分本位に生きてもいいのだと思えるようになった。

 周りからどう思われようと、彼に対する想いは抑えきれなかったのだ。

 一人で向き合っていた欲望は、今は我慢する必要はない。
 何もかも彼にぶつけて、分かち合ってしまえばいいのだから。

 彼に膝枕をしながら、おもむろに服を脱いでいく。
 熱く突き刺さる視線が、彼女の興奮をより高めていった。

 そして彼に覆いかぶさり、力強く抱きしめる。

「好きよ……大好き。絶対に離さないわ……。私の運命の人だもの……」

 自分の匂いでマーキングでもするかのように、身体を彼に擦り付ける。
 首筋を舐め、そこから顎へ向かい唇を奪った。

 彼の激しくなる鼻息を感じ、鏡子はうっとりとする。

 やがて唇を離し、ポッカリと開けてしまった彼の口に、今度は胸を押し込んでいく。

「好きにしていいのよ。私にたくさん甘えてちょうだい……。可愛がってあげるから……」

 舌舐めずりをして、その感触を味わう鏡子。

 その姿は、かつて彼女が憧れていたお色気アニメのヒロインなど、とうに凌駕していた。

 抑圧されていた欲望は一度溢れると、どこまでも泥のように溢れ続ける。
 溢れて溢れて、互いの境界がわからなくなるほどにドロドロに溶けてしまう。

 もうこの世界の誰の目も気にならない。

 鏡子が涎を垂らすほど欲しているのは、ひとえに彼からの視線だけなのだから。

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