ついに3章が完結しました。実に300話以上、120万字以上にも渡る大長編でしたが、いかがだったでしょうか。
この章単体で、1章と2章足したよりも長いんですよね。4年2カ月もかかってしまったぜ……。最後は50日で40話更新、ラスト1日は1日6話更新するという、1章連載時を彷彿とさせる勢いで書き進めて、何とか終わりました。やればできるじゃないか自分と思いました。とにかくすべてを出し切りましたw 疲れました! お疲れ自分!!
てことでしばらく充電期間を取り、休載させてもらいますが、その間も活動はこっそり進めていきます。裏で次章のストーリーを練ったり、誤字脱字の修正作業をしたりとかですね。こういうときじゃないと中々できませんので、じっくりやろうかなと。
さて、あとがきではそんな書いてませんでしたが、ストーリー的な裏話をさせて頂きましょう(ツイッターには断片的に書いてるんですけどね)。
フェバルの前半に当たる1章~4章は、それぞれメインテーマとユウの成長テーマという二つの大きなテーマを軸に成り立っています。
1章はメインテーマが「友情と青春。勧善懲悪」。成長テーマが「ユウのフェバルとしての自覚」です。1章は剣と魔法の世界で、筋書きも単純で、これは私自身初めての長編になるので、とにかく完結させることを意識してそうしていました。
メインテーマはもう、そのままですね。フェバルで唯一の青春を描いた物語。ユウは話が進むとどんどん強くなっていき、ある意味孤独になっていきます。真に対等な友情関係を築けたのはこの章のメンバーだけで、だから尊く、振り返れば懐かしくもあるんですよね。
成長テーマについては、はじめ流されるだけだった子供が、旅を始める決意をするまでを描くものです。ただし、まだこの段階では、フェバルとして旅を始めるという自覚はしていても、フェバルの力や、そこに降りかかる過酷な運命に対しては十分な覚悟ができていなかったと思います。その部分は、後々の成長テーマとして描かれてきます。
2章は、メインテーマが「民族対立と隠された真実。そして愛」。成長テーマが「ユウのフェバルとしての力」です。
1章でわかりやすい話を描いたので、2章ではもう少し踏み込んだ難しい話にしてみようとトライしました。わかりやすい勧善懲悪ではないのですが、隠された真実と真の敵という要素を盛り込むことで、全体としては救いのある話に仕上がっています。
あとリルナさんがめっちゃ好きで、この章は半分くらいリルナさんのために書いたと言っても過言ではない(笑)彼女を出すためには、1章のようなほのぼの舞台ではあまりに似つかわしくないので、違う世界という設定が出てきました。また、1章とガラリと違う殺伐とした世界を描くのも面白かったですね。殺し合いをしていたユウとリルナが、いつしか惹かれ合い、ユウが愛を知る、というのがやりたいことでした。
そして成長テーマですが、2章において、お姉ちゃんのユイが本格登場したり、《マインドバースト》や《マインドリンカー》といった心の力が登場したりと、ユウの能力についてスポットが当てられています。ただの強い異世界人でしかなかったユウが、リルナやバラギオンという壁を経て、フェバルとしての力を使いこなそうと歩み始めるのです。これが2章における成長テーマでした。
そして今回、3章のメインテーマは「夢と現実。人の想い。避けられない運命と、そこに立ち向かう英雄」。成長テーマは「ユウのフェバルとしての覚悟」です。
このメインテーマはですね、もうフェバル全体のメインテーマに直結していると言っても過言ではないほど重要なテーマです。3章、最初は明るくてスローペースで能天気な、何も問題がなさそうな理想的なラナソールという舞台から始まります。でもそれは実は夢で、現実では夢想病など大変なことが起こっていて、という感じの流れになっていますよね。
この章では、日常や一般キャラというものをかなり強く意識して描きました。物語を牽引していくのはフェバル級のキャラなのですが、そうではない彼らも、一人一人が現実や運命に直面していて、どうしようもないこともあって、それでも立ち向かわなくちゃいけないときがある。ユウもみんなもそこは同じです。ある意味では一人一人がそれぞれの物語の主人公をやっているわけです。彼らちっぽけな人間は、巨大な力や運命に比べたらどうしようもなく小さい。でも、できることはあるんだよ。意味のないことなんてないんだ。そんな青臭い人間賛歌ですが、この物語で一番描きたかったことになります。
どれだけ伝わったかは、読者の皆さんに委ねようと思いますが。
それで、色んな人たちの想いを受け取って、ラナソールを終わらせなければいけないという、巨大でどうしようもない運命に、フェバルの運命に、ユウはとうとう正面から向き合わなければならなくなります。2章でフェバルの力を得て、3章でさらに磨きをかけてきた。けれどやはり、力にはそれだけの責任が伴うのです。
3章始めまでのユウは、どうしても自分は人間側だっていう意識が抜けていませんでした。フェバルを旅人としての意味としてしか捉えておらず、その大きな力にかかる責任や、運命の過酷さも、これまで下手に何とかなってきたせいで、一番きつくてつらい部分と直接向き合うのは避けられてきたわけです。
今回は、そこに対して正面から取り組みました。ユウがこれから先、成長していくためには、避けられなかった。書くのがとてもつらかったし、何度ユウも私も泣いたかわかりません。
これからも、ユウは自分はあくまで人であるということを貫くでしょう。人に寄り添う優しいフェバルであり続けるでしょう。けれども同時に、フェバルとしての覚悟や厳しさも持ち合わせています。運命に立ち向かうフェバルという物語全体の主人公に、3章のつらい経験を経て、ようやくユウはなりつつあるのです。
さあ、ここまでの流れを経てきて、4章「I」では、いよいよユウが「フェバルを超えられるかどうか」その最大にして最後の試練に挑みます。最悪の敵アイとの死闘。本当に過酷で救いのない戦いです。
ですが、もしこの困難を乗り越えられたなら。ユウはきっと、みんなに期待されているような「フェバルの救世主」、運命を切り拓く、フェバルという物語の真の主人公となってくれるでしょう。そのときは、だんだんと近づいてきています。
こんなところでしょうか。ここまで付き合って下さった皆さん、本当にありがとうございました。フェバルもメインストーリーが本格化し、500話を超えてやっと、始まってきた感があります。まだまだ先は長いですが、盛り上がるところがたくさんありますので、ぜひこれからもお付き合い頂ければと。
それからこのコメント欄だけでなく、ぜひ作品の方に感想、評価、レビュー等して頂けると本当に嬉しく思います。やっぱ完結して何もないってのは、寂しいですからね(笑)
改めて4年と2カ月、本当にお疲れ様でした自分! それと同じ時間だけ付き合って下さった読者に、ありがとう。それではまた!