表題の通り「紅緋の帝記」の皇帝の章が完結したのに伴って、前半部も一区切りつきました。
物語的にはここまでで前半部。
後半はいよいよ破門十字軍を取り扱います。彼女たちの目はいよいよ東《オリエント》、約束の地たる聖地イェルサレムへ向けられ、散々とっちらかしている伏線も少しずつ回収される(と同時に更に取っ散らかり増えていく)予定です。
・東のお話
ちょっと解説すると、現在、中東には屈指のイスラム帝国であるアイユーブ朝が広がっており、十字軍はパレスチナの一部にへばりつくように国家を築いています。
十字軍は、これまでの歴史的に言えば第一回十字軍が最も成功していて、第二回、三回、四、五……と続くうちにどんどんグダグダになっていきます。
このうち第三回は多分一番有名で、そうそうたるメンバーが参戦しています。
”獅子心王”リチャード1世や、本編にも登場した”尊厳王”フィリップ2世、それからフェデリコのお爺ちゃんにあたる”赤髭王”フリードリヒ1世などなど。イングランド王国、フランス王国、神聖ローマ帝国ときた上に皆有能もいいところで、これ以上望みようがないベストメンバー!
……が彼らのうちフィリップはリチャードと不仲で、仲違いをして帰国。フリードリヒは川で事故を起こして溺死と早々に二名が離脱。
結局リチャードだけがひたすら大暴れした末(ホントに強い)に、アイユーブ朝と協定を結んで安全な巡礼の許可などを勝ち取って帰還して幾つか城塞を譲りうけるといった感じで、ド派手な割には交渉で何とかなるレベルの成果しか得ていません。
(しかもリチャードはそれでイギリスの国家財政を傾けるわ帰り道に同じキリスト強国の捕虜になるわ散々)
第四回は紆余曲折あった末に途中で行き先をコンスタンティノープル、いわゆる東ローマ帝国に変更し後継者争いに介入し同市を占領&略奪&傀儡国家建設やって終了ともはや理念も方針もしっちゃかめっちゃかになり始めます。
これは1202年ごろから数年やっいますから、フェデリコがカナと結婚したころには傀儡国家であるラテン帝国が建設されて内乱に陥っています。
第五回は本編皇帝の章終了時点ではまだ始まっておらず、後半開始ごろにその結末に触れることになるのでこの辺で…
・諸侯とムスリムと捕まった商人の話
すごく細かい話ですけど、反乱に与する諸侯の名前は概ね史実に沿っています。一方で事跡は幾らか残されていますが人となりまでは伝わっていません。
反乱を起こしたムスリムの頭目についても名前が判明していまして、今回叛乱側のムスリムの名前もそこから取りました。現実とはもちろん違う展開ややり取りが続いていますので、こちらもただ名前を借りただけに近いです。
また一方で、反乱に際して二名の商人が捕らえられ、処刑されています。罪状はフランスから出発した少年十字軍(のひとつ)を船に乗せて運んだあと、そのまま奴隷として売り飛ばした罪を問われています。
でも何だか謎と言えば謎なんですよね。
うまく史料が見つからなかっただけという可能性もあるのですが、商人が一体どう叛乱と関与してたのかはっきりしない、というか罪状は上記の通り「少年らを奴隷として売り飛ばしたこと」で叛乱の関与が数えられていなくて。
その辺りが不思議で、この話があったので何か商人を関わらせた話にしようと思い付いて、そこからハフサのキャラが出来上がり、アルトゥールもマルセイユ出身としました。
(本編でもハフサが残していた書類に人身売買の件とか少し触れてますが)
・第二部について
また改稿を進めて目途が立ったら始めたいと思います。
ここまでのお話も、あれこれ改稿してるうちに伸びたりカットされたり、流れが変わったり、流れは変わらないけど重要なシーンが増えたりなどで、応募時の原稿そのまま出したら辻褄合わない部分がたくさん出るので…
その分お話は膨らむ部分が多いと思うので、よければ気長にお待ちいただけると嬉しいです。
ここまでありがとうございました&今後もよろしくお願いします!
紅緋の帝記
https://kakuyomu.jp/works/16816700429274331008