こんなことはエッセイに書けばいいのですが。
たった昨日からのことなんです。
秋でもないのにセンチメンタルになってしまい、べそべそ涙が出てくるのでソファで横になって時が過ぎるのを待ちました。
午後になったら、夕方になったら、夜になったらきっと落ち着くさ――と。
ところが全然落ち着かない。
脳内で、かつて生み出したキャラクターがしゃべりだし、情熱の限りに叫びつつ、一つの物語を語り始めました。
泣きながら、わたくしの打算がカチカチと働き始めます。
これは妄想だ――
しかし、わたくしだけのものだ。
これは我にかえったら、煙のように消えてしまう――
それは嫌だと打算計がはじき出しました。
名乗りんさい、わたくしの妄想どもよ。
すると、かつてわたくしがへまをしたばかりにフィン感で突っ込まれたあの作品のキャラクターだとわかったのです。
「ボクはパック! こっちはキーさん!」
これから物語をするから、聞いていてねと言わんばかりに劇が始まった――
そうか、物語はわたくしの中に潜んでいたのか。
書かれたかったのだね、とカクヨムを起動させました。
ああ、パック、おまえはどうしたい? どう生きたい? キースは? そこはどこだい? クロベエは非人道的扱いを受けてると言われた気がする。
じゃあ、クロベエ、あのときの気持ちを聞かせてよ――あなたは博士に、恩返しがしたかったのだよね? 決して嫌がらせる気持ちなんてなかった――だから、それをわたくしが書いてやらねばならなかった。
シーンを始めよう――もう一度、あの物語を完成させよう。
産まれいでよ! さあ、わたくしの命の時間――心の全てを使って書いてあげよう。
どうだ――!
と、それが昨日のわたくしの精一杯でした。
創作につきものの、作品世界への全能感はまるでない。
キャラクターの生きたいように生きてもらう。
そして、一日が経ちました。
一晩寝かせてまじまじっと見ましたら、ちょこちょこ直したい点が出てくる。
しまいにはタイトルとキャッチも変える。
これでよしと。
春の新作は……まだタイトルが迷うところであるので慎重に。
明日、また見直します!