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和解

困ったね。今回の困りごとはちょっと……
リザ:(沈黙)
バルダーナ:うん

そっかあ。バルダーナの話を書こうとしたら抵抗したのは、思い出したくない過去だったからなのね
バルダーナ:うん……
一応、リザとは対比的に扱おうと思ってたから、物語の型どりはできてるのよ
クライン:(沈黙)
なにか言うことある?
クライン:ああ、うん……
クラインの過去編はもういいよね? レギュラー落ちしたし
クライン:耐えろ、オレ
ぶちまけちゃいなよ
クライン:オレは……(考えながら)いや、ではなかった
むしろ大切な思い出増えたでしょ?
クライン:うん
バルダーナ、わたくしにあなたの話を書かせてほしいの
バルダーナ:(我慢できずに泣く)
リザ、お願い
リザ:はい
バルダーナ:ちぇ
なに?
バルダーナ:なぐさめろよ
わたくしの役割は、主人公を痛めつけ、いじわるをし、苦しめて……そこから這い上がってくる様子を記録すること。最初にバルダーナの話を書こうと思ったのは、月光幻想で活躍するのを見て、この子ならと見込んでのことだったの
バルダーナ:そっか……鬼じゃなかったのか
バルダーナ、ハッピーエンドを信じてる。あなたが必ずつらい現実を戦い抜くのを、信じてる
クライン:耐えるか?
バルダーナ:……いやではない
あなたが孤高の騎士になるまでを、雄々しく気高く、ヒロイックに描くわ
バルダーナ:約束だぞ
うん。仲直りしよ?
バルダーナ:うん……
ありがとう。物語の型はとっくにできてるから、あとはディテールをかためていくだけだから。気にしない! だって、月光幻想ではハッピーエンドだったでしょ?
バルダーナ:泣いて終わりだったじゃないかよ
あれ? プリダニエに至ってファータ姫の護衛に着くまでの話だったんだけど。ちなみに初恋は実らないのよ~定説がある
バルダーナ:そっかあ
バルダーナは、ファータ姫に認められて、幸せじゃないの?
バルダーナ:そっか……そうかも!
ファータ姫第一の騎士、黄金の騎士、稲妻のバルダーナよ! わたくしが思い描いた最高の主人公!! 凛々しくて、美しくて、気高くて。だからそこに至るまでの話は少し過酷なのよ。
バルダーナ:わかった!
かわいそうな目にあってもらうけど、信じて
バルダーナ:(我慢)わかった。
あなたの強さを、信じてるわ……;;
バルダーナ:なんで泣く?
泣かずにいられないほど過酷な運命をあなたに課そうとしているから。がんばってね;;
バルダーナ:オレは……! 信じてる! あんたを、信じてる!!
バルダーナ、愛してる!!!
(一緒に泣く)

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