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書いて、読んだ。

感想を書いたりXでサポーター様にウザ絡みしたりしつつゲームしながらスマホも駆使して何とか書き上げる最中に折原一『異人たちの館』を読みました。
それはそれとして、nullpovendman様ステキなレビューありがとうございます。アオリ(裏表紙のあらすじ的なやつ)ウメー。短編のラブコメや異世界ファンタジーを書かれているご様子でアドレス貼るか迷ったけれど許可とってないので保留。
というわけで、折原一(おりはらいち)『異人たちの館』です。
面白かったーのでネタバレ注意ー。

文庫にしては分厚かったら手に取りました。マジでそれだけでございます。本文はおよそ600ページです。およそ0.05失われた時を求めてなので全然だいじょうぶです。
めっちゃくちゃ読みやすかったですし。
初出は90年代で、なんと4度目の文庫化(文春文庫版)であります。全く知らなくて申し訳ないけれど名著やんけ。

あらすじとしては、磁石が効かないタイプの富士樹海で一人の青年が死に、その親がゴーストライターに伝記の執筆を依頼、調べるうちに驚愕の真実が! ってな感じでございます。

文体は基本90年代ミステリ文体……ですが、作者様の得意技なのか多重文体といいますか、新聞記事や一人称の語り、小説の抜粋など、様々なものが挿入されます。とはいえ時代的にも根本の筆ぢからが高いので全然普通にスラスラ読めます。0.01百年の孤独くらいスラスラです。およそ3日。スピード重視で集中的に読めば3~4時間って感じですか。ややお得感のあるエンタメ重量ですね。

ってことで、お気に入りポインツ! 
ミステリなのでネタバレ注意!!




お気に入りポインツ1!
古き良き言葉遊び的な合流。主人公を含めて登場人物の名前に色々な仕掛けがありまして、後述しますが分かっちゃいるけどニヤリとしちゃう良き塩梅でした。

お気に入りポインツ2!
作者様の得意技らしいとのことで、たしかにキマっていると思います。私自身はスレた読者なので叙述トリックで驚いたこととか片手で数えられるくらいなんですが、この長編で多重に決めてくる手腕はすごいと思います。

お気に入りポインツ3!
後述の気になるポインツとかぶるのですが、いい具合のおもてなしだと思います。ちょうど謎を追いたくなって、たぶんこうなるだろうなが大体あってきます。これはこれで気持ちがよいのです。

お気に入りポインツ番外!
初出が90年代で登場人物の設定も東京オリンピックの年(1964)に生まれたとか、たまたま令和の時代に手にしたからこその、独特の味わいがいい感じでした。私レトロ感が好きなんですよ。スチームパンクとか、20世紀初頭――から始まっちゃう小説とか。

続いて気になるポインツ1!
良くも悪くも90年代と言いますか、令和を生きる私にとって作中の謎のほぼすべてが予想通りでありました。もう設定とキャラが出てきた瞬間に、たぶんこいつがこうで、ここはこうで、オチはこんなんだろうなあ、の8割くらい合ってました。叙述トリックも含めて。私の脳が灰色なのか作者様のおもてなしなのかは当然ながら分かりません。だいたいの流れが読めてても面白かったからヨシ。

気になるポインツ2!
磁石が狂うタイプの富士樹海がある世界線は別によいのですが、オチ回りが気持ち強引な気がします。一般の人たちが小説系創作界隈のことをよく知らないから成立するというか、自分でも書いてる人からするといやそれはないってなっちゃいます。まあマイノリティなのでオッケーですね。

気になるポインツ3!
一個だけすっごい大きな謎が残って終わります。本編的には些末なところなんですが、私の場合は他が予想通りなだけにそこどうやったの的な謎が明らかにならないのです。まあ分かんなくても全く問題ありませんが。


まとめ……作者様が最も力を込めた作品と評されるだけあって力作です。当時の「このミステリがすごい!」で9位だったとか。マジかよ他のライバル強すぎないか。でも90年代っていうとモルカーおじさん御大が筆頭の時代ですもんね。気持ち実録はいってるこのミステリだと厳しい。あるいは新本格でもないし単刊だし分厚いにも関わらず9位に入ってるの凄い、かもしれません。その頃の私はクイーンとイーグルスとツェッペリンとあとなんだけに夢中でした。
あらためまして、その時代を知る人にとってはノスタルジーを、知らん人にはレトロ感を与えつつ、サクっと読める大著的な良質ミステリでございました。


さあ、ウカガイ様の続きを書きつつ、次は洋物ミステリを読みましょう。

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