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読んだ

今日は今日とて銀行で4時間超を過ごしておりました。
当然、あまりにも暇なので真梨幸子『孤虫症』を読みました。先日ゲリラ豪雨の最中カバンの取り出しやすいポケットに突っ込んでいたがために上がガビガビになっていますが読み終わった本の大半は捨てちゃうので大丈夫です。
面白かったーのでネタバレ注意ー。

えーと、恥ずかしながら寡聞にして存じ上げないのですが、イヤミスの女王デビュー作らしいです。メフィスト賞。メフィスト賞か……。舞城王太郎はちょっと好きだったけども他は……まあいいか。

というわけであらすじですが……なかなかぶっ飛んだ性に奔放な主婦の独白めいた語りに始まり、週に三人の男性と関係をもっている主人公が思春期でナーバスな娘に怯えていたり空気旦那に辟易してたりタワマン上層階の住人に嫉妬したりしながら性病らしき何かを発症したと思ったらケツから寄生虫の体節が!! で、なんか娘が死んだりなんだり起きたりしたところが一章。はい。導入です。
主人公は一章の語り手らしき人の妹に切り替わり事件の真相を……といきたいんですがこいつもだいぶ癖がありまして、バンドマンの旦那に辟易としつつ姉の旦那のタワマンマンに横恋慕しつつしかも寝たりしちゃって何か姉が小説を書いてたことが発覚してそれが一章の小説で姉と寝てた男が変な病気で死んでてもうゴッチャゴチャしてきたところで第三章!
語り手は変わりませんが、主人公が心理的にぶっ壊れ気味で信用できない語り手だと発覚しつつ行き当たりばったりに真相解明に突入します。まじ行き当たりばったりすぎて困りました。そして驚愕の真相……驚愕の……?

文体は、一章は脳みそパープリンなセックス依存症おばさんの一人称っていう中々さですが文章自体は読みやすいです。一ミリも感情移入できませんが、後に発覚するように素人小説の文体だから仕方がないといいつつ二章もたいして変わらんやんけ! いえ、少しはまともになってるんですが心理的に不安定な人の一人称なのと始終バーモネフタリを仕込んでいるっぽいので独特の薄気味悪さがあります。読みやすいですけどね。


さてさて、お気に入りポイントに入りますが、もしかしたらネタバレ全開になっちゃうかもしれないけれど、そこそんな重要? みたいな感もあり、まあ配慮しながら書くんですが何を書いてもネタバレるような構造で、って具合です。





ってことはお気に入りポインツ!
……といきたいんですが、ごめんなさい、ここ! ってところがないです。寄生虫ネタはあるかなと思ったんですがものっそいありふれたネタ披露で終わっているので特に感じ入るところもなく……あ、でもアナルセックスで感染して――みたいなネタは好きっちゃ好きでした。バカっぽくて。
とはいえ嫌いとかつまらないということではなく、やりたいこととか、やろうとしていることとか、とっちらかっているところとか、完成度以外のところはわりと好きです。ただこれ商業ででてるのすげーなって感じもなくはなく。いやそれ言い出したらキリがないか。


なので気になるポインツ!
一章が実は作中小説でしかも書いたのは別人でみたいなはいいんです。なんか一時期の講談社メフィストとかメタ構造いれときゃ出版されるのではくらい雑かったので。ただこれ10ページくらい読んだところで叙述トリックだなって肌感ありました。なんでかはわかりません。で、書いたのが誰かってのが意外ではあったんですが、意外にしたくて意外にしたんでしょうねって感じなのではってなりました。

気になるポインツ2!
オチぃ! オチこれお前、一時期の講談社メフィスト出身ミステリはオチで壁に投げつけるものって感じでしたけどこれもそうですよね。いくらなんでもひどいっていうか、これが尖っている判定なら私のだって出版されていいはずだってなります。いや筋は通っているんですが筋を通してるだけじゃねえか!

気になるポインツ3!
これはある意味お気に入りでもあるんですが、一ミリも知らないタワマン奥様たちの殺意盛り盛りマウント合戦は気合い入りすぎだろと思いつつそういう層もいるのかもなあと思ったりしながらいくらなんでもお前ってなりました。文中というか作中でこれこれこうだったんだよって言ったらそうなるやろがい論法なのは小説だと普通ですがいくらなんでも少年マガジン仕草っていいますか、ミステリのお約束オチで犯人が語るパートでは読者の私の頭に『!?』のオンパレードでギャグかと思いました。

気になるポインツ4!
これは声を大にして言います。
ケツ穴はアヌス! アナルは形容詞! アナルは形容詞です! 主人公の一人称語りなんで間違ってるのもキャラ付けでしかないんですけど、アヌスとアナルはしっかり使い分けていただきたいところです。すっごい気になるんですよ。なんか。



まとめ。
えーと……怪作とか奇作とかそういう類の一人称ミステリです。視点人物も周囲の環境も置かれる状況も一ミリの隙なく生理的に嫌な感じなので嫌な感じが好きな人にとっては他人のケツから出てきた珠玉の一本って感じになるくらい嫌で良い感じだと思います。
私には微妙でしたが、それは私が寄生虫好きであり、寄生虫界隈的にはふーんくらいの内容だったからだと思われます。
あとやっぱりオチ。年表も含めてうん。うん。


明日のラッキー思いつき嘘知識。
『カタツムリを操るロイコクロリディウムや、カマキリを水辺に導くハリガネムシなど、宿主の行動を制御する寄生虫は数多く、もちろん人間も例外ではなく、たとえばミトコンドリアなどは恋愛虫という通称で知られるように、人間を媒介し繁殖を試みている』

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