10年探しつづけた本を、先週本屋でようやく見つけました。
何というタイトルか。
誰が書いたのか。
どこで読んだのか。
まったく思い出せない。
覚えているのは、その内容だけ。
今考えると、本屋に置いてある『新潮文庫夏の100冊』みたいな、無料のパンフレットだったと思うんです。(ここはお世辞でも角川文庫って言っとけよって感じですけど笑)
作家からのメッセージとして、小エッセイが載っていました。
***
舞台は、著者の女性が若いころに参加した飲み会。
「どんな異性がタイプか」っていう話になったそうです。
そこにいた男子連中が口をそろえて言うのは、
「笑顔が可愛い子」「明るい子」なんていう、ありきたりな答え。
でも、ある男子は、意外な答えを口にします。
──本が似合う子
飲み会であんまり聞かない好みのタイプ。
気になって質問すると、本人はぜんぜん本を読まないとのこと。
「どんな本が好きな子?」と著者が尋ねると、
「小さい本」と彼は答えます。
大抵の本好きは、
どんな本が好きか?と聞かれたら、
ジャンルを答えるし、
文庫本のことを小さい本なんて呼ばない。
その一言で分かりますよね
ああ本当に読書しない人なんだ、って笑
そして、時は一気に進む。
その人の結婚式に、著者は招待された。
久々に再会したタイミングで、著者は昔の会話を思い出します。
「本が似合う人が好きって言ってたけど、覚えてる?」
「俺、そんなこと言ったっけ?」
男性は覚えていないご様子。
まあ、そんなもんだよね。
そのあと、披露宴か二次会か分からないのだけど、
新婦の私物が置いてあるのを見かけます。
著者はすっと目が吸い寄せられていく。
彼女のカバンのポケットから、
ブックカバーの端っこが顔を出していた
***
良いエッセイですよね~
私はこの話を読んでから、ずっと作者を探していました。
何度か「エッセイ 結婚式 ブックカバー」と検索したのだけど、
誰のエッセイにもヒットしない。
でね、先週本屋に言ったら「辻村深月特集」なるコーナーが設置されていた。
辻村深月ってエッセイも出してたんだー、なんてパラパラ本をめくっていたんです。
──見つけてしまった。
私の記憶とちょっと違う部分もあるけど。
(文庫化されたときに修正が入ったのか、私の記憶が風化しているのかは不明)
辻村 深月「図書室で暮らしたい」
気になった方はぜひ読んでみてください!
私は嬉しくなって、ついつい買っちゃいました!