ベタな設定を巧妙に繋ぎ合わせて快楽中枢を刺激し続けて★を稼いでいる何人かの作家も凄くて愛読してはいるんだけど、★が2ケタしかなくても何度も読み返したくなる子どもの終わり氏(旧名、お小遣い3万氏)の作品にハマってる。
https://kakuyomu.jp/users/kikakutujimoto
まずは「性奴隷を飼ったのに」
https://kakuyomu.jp/works/16817139558183718127
エロ狙いで検索して出会った作品であることを告白しなければいけないが、何度読み返しても泣けるシーンがいくつもある。自分の恥を晒さないと紹介できないこのタイトルが恨めしい。
「山田さん家のダンジョン作り」
https://kakuyomu.jp/works/16817330651270228510
は比較的短めだが、これもいい。子どもの終わり作品にはダンジョンものがいくつかあるが、いずれも生死が掛かっている。しかもスケベである。
「スキルを持たないバカ冒険者が女の子とキスしたら魔力が全回復するようになり、やがて幼馴染を救うために魔王と戦う」(旧題:無能な馬鹿が世界最強)
https://kakuyomu.jp/works/16816927859299022413
は後半はハチャメチャ。でも3度読み返してしまった。やはりスケベだが生死が掛かっている。
ダンジョンもの以外ではなんといっても
「金木ハイジは小説を書いている 〜小説を書くために生活の全てを捧げた高校生が作った部活にはなぜか4人の女子生徒がいる〜」(「青春ラノベが壊れても涙は見せない」の改作)
https://kakuyomu.jp/works/16817330669426770009
作家をとして人に読まれ、感動させることを切望する高校生の物語。やはりスケベだが、語彙が乏しい私にはこの作品をうまく評せない。
ところが、この作品はさらに広い世界に繋がっている。
ハイジがラノベ作家を目指す動機となった宮崎いすずはのちに「あばずれピンク頭」というペンネームで『魔法少女ナノ』シリーズで作家デビューしている。そのことが分かるのが
「ラノベの世界に入ったので推しの負けヒロインを救い出す」
https://kakuyomu.jp/works/16817330668034556185
これは『魔法少女ナノ』シリーズが作者の病死で未筆となった第9巻に当たる。
この作品はまた子どもの終わり氏の初期の作品
「透明人間になれる少年の物語」
https://kakuyomu.jp/works/16817330650471990197
とも繋がっている。
そして『魔法少女ナノ』シリーズの第1巻そのものが
「怪異退治の物語」
https://kakuyomu.jp/works/16817330669426770009
これは母を病気で亡くした金木ハイジ兄妹がモチーフとなって書かれたものと言う設定。
ということでこの作品のあらすじは「金木ハイジは・・・」と「ラノベの世界に・・・」の中に既出で、起承転結の結まで書いてしまっている。ところが魔法少女ナノの霊媒師の祖母で亡くなった本田美千恵(ホンチエ)の若かりし頃が登場するなどさまざまな伏線が解かれることなく仕込まれており、結末が分かっていながら、なんとかこの輪廻の結び目にどこか綻びがないものかと思わずにはいられなくなる。
同氏の作品は、ほかのカクヨムの人気作品と同じペースで読んではいけない。いや同じペースで読んでもいいが、二度、三度読み返して初めて気づく箇所があちこちにある。