皆様こんばんは。
前回の近況ノートで「マルベリーの木の下で、あなたはわたしの全てを奪う」を紹介して頂いたことについてコメントさせて頂いたのですが、今回はその続きです。
田鶴さんが書いて下さった紹介記事はこちら↓
https://kakuyomu.jp/works/16818093085464641449/episodes/16818093085473059166今回は作品の内容について少しお話ししたいと思います。
①タイトルについて
記事に書いて下さっているように、マルベリーというのは日本で言うところの「桑の木」です。ただ日本人が抱く桑の木のイメージとは少し違っていて、ヨーロッパのほうでは高さが3~5メートル以上もある大木になるのだとか。小説でも崖の上に生えているマルベリーの大木の下であれやこれやが繰り広げられます。
なぜ今回、タイトルにマルベリーを選んだのか。
悲劇を書いてみようと最初に思った時に頭に浮かんだのが、「不吉な花言葉」にまつわる作品にしたい、ということでした。花言葉というと永遠の愛とか幸福とか甘くてハッピーなものが頭に浮かびますが、実はかなり危ないものもあるのです。例えば可憐なスノードロップは「あなたの死を願う」ですし、アイビーは「死んでも離れない」です(おいおい)。そしてマルベリーの花言葉は作中にもありますが、「あなたの全てが好き」と「ともに死のう」。……相当やばい。
そういった経緯でいくつかの花言葉を調べたのですが、最終的にマルベリーが大木になること、その実が真っ赤であることが決め手になって、少しづつイメージが固まっていきました。もちろん舞台はヨーロッパ、マルベリーの大木があるのだから田舎、そして「ともに死のう」……この言葉を象徴的に使うにはどうストーリーを構成すればいいか、それを重点的に考えてプロットを作った結果、自然にタイトルも出来上がっていったというのが経緯です。
またこの「マルベリーの木の下で」は、全体を通して「夏」をイメージして書いています。Ver.1 の「導く者」が冬のイメージだったので、対極にしました。参考までに、書き手の中ではヨーロッパの海辺のさびれた村、ギラギラした夏の日差しと強い風、そこで繰り広げられるドロドロの人間模様という、考えられる限りの暑苦しい要素満載の作品を書きたかったという思いがあります。ただもちろん読み手の皆様はそれぞれの感性のままに読んで下されば、それだけで幸せです。
ちなみに私は田鶴さんが書かれているところの「田舎のガキ」で、子供の頃は学校の帰り道によく桑の実を食べてました。しかも赤の他人のお宅の庭から歩道にはみ出しているのを勝手にもいで、です。今思うととんでもないクソガキですね。でも学校から自宅まで徒歩で1時間以上かけて通学していたので、途中で糖分補給しないと身がもたなかったのですよ。許して下さい。
②バッドエンドについて
これについても田鶴さんがバッドエンドと作品のタグについて多角的に考察して下さっています。
個人的にですが私は最初から「バッドエンド」のタグを付けることにそれほど抵抗はありません。というか、そこまで深く考えてないというのが近いです。ハッピーエンドのタグがついてる作品があるんだったら、バッドエンドのタグがついててもいいよね、その程度です。ですのでバッドエンドのタグを付けないで欲しいとか、最初からそのタグが付いていると読む気にならないという読み手さんがいるということを知って、少なからず驚きました。へーそうなんだ、的な。
でも、うーん、バッドエンドと分かっている作品は読みません、そのご意見は正直ちょっと理解に苦しみます。確かに昨今の異世界恋愛のジャンルは溺愛やハッピーエンドが真っ盛りですが、たまにはそうじゃない小説があったっていいじゃないですか。赤福餅の後には塩昆布が欲しくなる、それですよ。両方あるからどちらの味わいも深くなるんじゃないかと思うのですが、どうなんでしょう。
とは言え私も公開当初はこの作品読んでもらえるんだろうか、という不安でいっぱいでした。幸い蓋を開けてみると予想以上に皆さん読んで下さって、キャラクターにも感情移入して下さいました。ああ良かった。調子に乗るついでに、これをきっかけにヒストリカルロマンスに興味を持ったり、たまにはこういう根暗な作品も書いてみようかなと思って下さる方が増えると嬉しいなあなんて思っています。
本当はまだまだ語りたいことが尽きないのですが、そろそろ終わりにしたほうが良さそうです。今回、最後に「インスピレーションの源」として私の愛してやまないエンタメ作品の一部を記載させて頂きました。ああ、碓氷シモンの頭の中はこういう妄想で満ちているのだなと理解して頂ける一端になるかと思いますので、そちらも一読頂ければ幸いです。
最後に、改めて「マルベリー」を読んで下さった皆様、読書録で紹介して下さった田鶴さんに、心からお礼申し上げます。
これからも楽しんで頂ける作品を書けるよう、日々精進してまいります。どうか温かく見守って下さいませ。
碓氷シモンでした。