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『原罪の贖い』とは何を意味するのか?(改)

オタキング岡田斗司夫がやるような解説を
自分自身でやる罰ゲームの二回目です。

今回は人によっては前回より難しい内容になります。
理解が難しさではなく、
忌避感が大きいと思います。
胃が痛いです。

さて、永い後日談のネクロニカの巻頭マンガにおいて
アンデッドが実用化された際のプロパガンダと思しき台詞があります。

『素晴らしい歓声です!ついに人類は有史以来の罪を克服しました!』
『もはや戦争において、”生きた人間の血”が流されることはなくなったのです』
『アンデッドによる戦争……ネクロマンシーが人道的戦争を可能にしたのです』

プロローグでは最後にこの台詞を改変して使用しています。
特に読者がのどに小骨が引っかかったような違和感を感じるであろう、
『原罪の贖い』とは一体何を指すのでしょう?

ちょっとネクロマンサーさんに説明をお願いしてみましょう。

/////////////////ここからネクロマンサーによる説明

聖書の説明もしてもいいです?
それでもいいなら、説明できますでっす!

「有史以来の罪」、はもちろん文字の通り、
筆記という概念が生まれ、形而下の概念も含め
未来、過去の情報伝達が可能になってからの罪です。
一方、「原罪」ですがこちらは有史以前の罪、
人間が人間になった瞬間に生まれた罪を指しますです。

「有史以来の罪」とは、人類最初の殺人を指します。
アダムとイヴが生んだ兄弟、
カインとアベルの間で起きた殺人事件です!

 この事件は、農家のカインさんと羊飼いのアベルさん、
この二人がヤハウェさんにプレゼントをしたのが始まりです。
 ヤハウェさんはアベルさんの羊のプレゼントは見たけど、
カインさんの麦や果物は無視したです。

 カインさんはそれでアベルさんに嫉妬して、
野原に誘ったアベルさんを殺してしまいましたっ
 でもすぐにバレて、カインさんはヤハウェさんに、
エデンの東に追放されてしまったです……
 人類の半分はこのカインの子孫と言われていますです。
ではこの「有史以来の罪」を”克服した”とは、
どういうことを指すのか?でっす。
 カインの殺人の動機は妬みと憎悪。
その罪深い心を半分の人間は持っているという事、
ですが物を壊すなら殺人にはならない。
「永い後日談のネクロニカ」では、
そういったロジック、文脈でこの台詞は
語られてるのだと思いまっす。

 一方の「死人たちのアガルタ」では『原罪の贖い』になっています。
”原罪”とは何で、”贖い”はどういった行為を指すのか?でっす!

あとでっすね、贖いは「つぐない」とも読みますが、
それだと意味が"Atonement"になるのでっす
これは損害に対する賠償という意味になるのでっす。

キリスト教的な意味がある読みの「あがない」
つまり"redemption"として読むです。
これは絶対にそうしなければならないでっす。

おほん、原罪は特に宗派によって解釈が異なり、
一つの説明では不正確ですが、
なんとか理解できるように述べまっす!

 原罪とは、アダムとイヴは楽園において
当初、”知恵の木の実”以外を食べてたです。
 つまりこれは、逆説的に”生命の樹”の実も、
アダムとイヴは食することが可能だったという事です。
楽園にいる限りアダムとイヴは不滅の存在だったはずです。

 そして、蛇に唆されたアダムとイヴは知恵の木の実をたべました。
 神はこの後に二人が生命の木の実を食べて不滅になり、
自身と同等になることを恐れたのか、二人を楽園から追放したです。

 楽園を追放された二人は、不死になる可能性を失ったです。
しかし、人類は知恵を得た事によって、
死する運命を与えられましたが、
人類は知恵によって、その苦しみながらも
なんとか耐えることができました。

 ふっふーん、もう勘のいい人は大体わかってきたんじゃ
ないでっすか?

 楽園を追放された人類は、カインの殺人により、
さらに罪深さをその内側に抱えることになります。

 ですが人類は救世主を得ます、ナザレで生まれて、
今は立川でバカンス中のジョニーデップに似たあのおじさんです。

 新約聖書においては、おじさんの死によって、
人間の全体の罪が赦され、神との和解に至り、
善き人が蘇り、人類が永遠の命を得るとありまっす。
 でも実際には、終末はパウロをはじめとする、
新約聖書の著者たちが予想したとおりに起きなかったでっす。

 これはおじさんが人類の代わりに生贄となって、
『方法論を示した』にとどまっていたからでっす。
西暦50年代の技術では、行いをそのように
一方的な解釈しかできなかったのです。

 本当の和解に至り、苦悩の無い楽園に帰るには、
私たち全員が”あるもの”を捧げないといけなかったのでっす。

 人が楽園に帰るため、楽園から奪った物を返す必要があったです。

『原罪の贖い』とはその行為を指すでっす。

 「死人たちのアガルタ」世界での
キリスト教の信者数は世界全体で30%強でっす。
これは世界で一番多い宗教になりまっす。
 U.N.D.E.A.D.の概念は目標とする点において、
三位一体の概念を持つ当時のキリスト教の教義と
大きく乖離しなかったでっす。
 それどころか新しい解釈をもたらしたでっす。

 肉体と自我という分かち難いものを分かつことができた
ネクロマンシーという「技術」
私達ネクロマンサーと言う「個人」
 そしてモノに過ぎなかったAIに、人としての権能、
自我を与えてアンデッドにしてしまった事は、
「技能の再現」以外に副次的な効果を生みます。
ネクロマンサー、彼らは遺らざるを得なかった存在でっす。
多くのヒトの「贖い」を直接的に行ったネクロマンサー。
 彼らが求めている者とは何なのか?
しかし、話としてはズレてきたので、
これを語る機会は別の時にした方がよさそうでっすね。

――私からの説明は、以上でっす!

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