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湊かなえ「ダイヤモンド」を紹介します

久々に良い作品と出会えたのでご紹介。
あらすじは「ある女性と婚約した男性が、ひょんなことから一羽のスズメを救う。すると、その夜助けてもらったスズメだと名乗る女性が現れて恩返しをしたいと言う。半信半疑な主人公はスズメに『婚約者』の好きなものを探して欲しいと依頼すると、翌晩、スズメは婚約者が浮気をしている、と衝撃の真実を明かしてきて……」

作者としては珍しい御伽噺系ですが、とても軽快に楽しく読むことができました。
ストーリーは至って王道の起承転結なのですが、とにかく純真無垢なスズメと汚泥蔓延る人間の裏の対比が心地よかったです。

個人的にお気に入りなところはスズメの台詞回しで、例えば今夜の婚約者の様子を聞かれた時に「浮気相手と交尾をして」という言い方をするんですよね。とても野生動物らしいな、と思って。「夜を共に」とも「セックス」という単語も使わずに「交尾」という単語を使うのはこの女性がスズメである、と決定づける要素の一つになりました。

と、まあ予想できるかと思いますが、御伽噺といっても平和なものじゃありません。人間の心にすくう闇を御伽噺風に描いています。そこもまた今までになかった切り口で、新鮮でした。

また、僕はこの本をオーディオブックで読んだんですけれども、オーディオブックは本の良し悪しに加えて読み手の技量も試されます。
そういった意味では、この本の読み手であった永作博美さんはキャラごとに声色を使い分けて、聞きやすかったです。特にスズメの甲高い声なんかは彼女の解像度をより高めてくれました。

今回は「ダイヤモンド」を紹介しましたが、これが収録されている「サファイア」の短編はどれも面白いものばかりです。ぜひ読んで、また聞いてみてください。
永作さんの朗読はオーディブルで聞くことができます。

と、いうわけで、オススメの作品紹介でした。
それでは、また。

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