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イレーネに寄せて(「トマス」ネタバレ注意)

はい、どうもこんにちは、名無之です。
今日は無事にイレーネの章が終わったということで、イレーネの感想戦をやっていこうと思います。

さて、いかがだったでしょうか。重い話になってしまったかなと思います。前章のハルカがすごいいい雰囲気で終わる、いわゆる王道だったので、そこから急転直下で雰囲気を変えようとしました。
一つはやはりマリー・ブランドかなと思っていて、意外と皆さんご指摘ないんですけれど個人的には気に入っているんですよ。急に現れる見知らぬ人。登場人物が10人しか出てこないはずなのに急に出てくるマリー・ブラントという固有名詞が、自分で言うのはやぶさかですがちょっとスティーブン・キング味がしませんか。彼の小説に出てきそうじゃないですか。あぁいう設定! もしよければ、感じていただきたいです。
それで、彼女は教養もあって文才もある人なので、言葉の使い方は他と一線を画すよう意識しました。まさに第1話の後半の嘔吐シーンで「彼が憎いのは太陽が明るいことと同義だが、それ以上に、彼に従ってしまう自分が、この体が、月明かりのように憎い!」と、太陽と月を対比させているのですが、これ実は前章からの印象も引き継いでいまして、前章では月明かりや日差しに照らされたサヤカを美しいと言っていたじゃないですか。ハルカは美しいと思っていた。一方でイレーネは憎いと思っていた。この対比もなかなか、我ながらようやるなと思います(自画自賛)。
また細かいところは追々語っていこうかなとは思うんですけれども、あと個人的に気に入っているのは過去編ですかね。レスターに殺された後のシーンで「​​すべての神経細胞が針に刺されたかのように悲鳴をあげる。一挙手一投足が激痛と呼ぶには生ぬるい〝イタミ〟を私に与えた。〝イタミ〟は退廃的で暴力的で悲劇的を超えて残酷なこの世界を表象しているようだった。」ここXでも語ったんですけれども、激痛を超えるものって何があるかというと「イタミ」なんですよ。激痛を越える痛覚を感じた時、人間は「イタイ」と言う。これは「イ」と言う狭い言葉で挟まれた一瞬のa音(安らぎ)。「真の絶望には必ず希望がある」とダークナイト・ライジングのベインの言葉が浮かび上がってきますが、この一瞬の安らぎを内包した「イタイ」。そこからRADWIMPS「会心の一撃」のサンプリングを行う。これはただ歌詞をサンプリングしたっていうわけじゃなくて、野田さんが感じてらっしゃる大きな絶望、どうしようもない絶望をこのサンプリングから感じてもらえればいいかなと思います。けれども「会心の一撃」なんですよね。だから彼女は肉壺を噛みちぎり生きようとした。と、これだけでご飯何杯でも食べれちゃうほど深く考えているので、ぜひそのほかの箇所でもただの文面だけではない、その奥底のさらに奥底まで感じていただけると大変ありがたいです。


トマスについては皆さん本当に応援いただいてありがとうございます。あともう少しで星が3桁行くんですよ。まだちょっと、あともうひと押しっていう形ですので、まだトマス・プランテーションを読んでないよという人が周りにいましたら、ぜひおすすめしていただいて。作品ページをちょっとスクロールしていただくと星を3つ入れるところがあります。そこに星を3つ入れていただいてから、この作品はスタートするよと言っていただくと……さすがにちょっと乞食すぎますかね笑。失礼しました。
引き続き投稿はしていきますので、ぜひ最後まで読み進めてもらえればと思います。

というわけで。本日はここまで。
お疲れ様でした。

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