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【読書感想文】筒井康隆「時をかける少女」(ネタバレあり)

どうも名無之です。さっきまでzoom飲みを開いていたのですが、参加者がなんと一人! という悲しい結果となりました。しかも、その一人が来るまでに30分もかかるという。常人であれば発狂してしまうでしょうが、そこは名無之。権兵衛が書いた次回作のプロットを見てワクワクしておりました。いよいよ執筆に入るそうで、今から待ち遠しいです。
では、今回も張り切って参りましょう!

あらすじ:放課後の誰もいない理科実験室でガラスの割れる音がした。壊れた試験管の液体からただようあまい香り。このにおいをわたしは知っている―そう感じたとき、芳山和子は不意に意識を失い床にたおれてしまった。そして目を覚ました和子の周囲では、時間と記憶をめぐる奇妙な事件が次々に起こり始めた。思春期の少女が体験した不思議な世界と、あまく切ない想い。

おすすめ度:中の上(SFというよりは青春もの)

角川文庫の本作を手に取った方はわかると思うのですが、他と比べてかなり薄いんですよね。だから中編かなと思ったら、本の中にさらに三篇入っていて……。つまり本作は短編小説だったのです。それを知らずに読んだ僕は大層驚きました。
本当は三作それぞれの感想を書きたいのですが、時間がないため今回は表題作のみとします。お許しを。

しかし、内容は短編であれどとても重厚なものでした。あらすじを聞いている限り、タイムリープものかと思いきや、未来人と現代人の甘く切ない恋物語だったのです。未来人の告白の仕方であったり、彼の愛に戸惑う和子の心情は、甘酸っぱい青春を見事に表現しているでしょう。
本作は時を経て多くの人に読まれ続ける名作となりました。ひとえにその理由は全体の短さと、目一杯に詰め込まれた展開の多さでしょう。何よりラストの衝撃は読者を、和子をあっとさせ、終わり方はラベンダーの香りのようにほのかな余韻を残していました。
えっ、イキってるって? そりゃ、すみません笑

ただ、個人的にはタイムリープの理論について疑問に思うところがありました。和子の取った行動は、明らかにタイムパラドックスを生じさせるものでしたが、果たして、そこは大丈夫なのでしょうか。
最初は観測者が和子一人だから、彼女の目の前だけが現実というデカルトの懐疑論的発想なのかと思ったら一夫というもう一人の観測者も出てきたではありませんか。これでは、別の過去を体験した二人が居合わせることになり、矛盾が生じてしまいます。ん? 何を言ってるんだ? 自分でもわからなくなってきたぞ。これぞパラドックス!
そういうわけで(どういうわけだ)おすすめ度は中の上としました。

さて、今回はこれくらいにしましょうかな。ここ最近、投稿用の校正と、次回作の準備と、社会人の忙しさでてんやわんやしております。
まあ、なんとか6月から新作を毎日投稿できそうです。それまで、もうしばらくですがお待ちください。
それじゃ!

1件のコメント

  • 何となくそそられますが・・・・
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