どうもこんにちは、名無之です。
ヘックション!
最近、暑くなったり寒くなったりと不安定な日が続いていますね。暑いからと半袖になったらくしゃみをしてしまいました。ズズ——。
さて、今回は売れっ子作家のデビュー作です。早速見ていきましょう!
あらすじ:愛美は事故で死んだのではありません。このクラスの生徒に殺されたのです。
おすすめ度:中の中(当時は斬新だったかもしれないけど……)
最初の「聖職者」で作者は日本小説推理新人賞を受賞し、さらに肉付けして長編化したのが本作です。第一章の「聖職者」ではほとんど改行がなく、加えてスロースタートだった事にこれでも新人賞が取れるのか、とただただ驚きました。しかし、評価されたのは何といっても一番最後のどんでん返しでしょう。関係ないと思っていた序盤の話が伏線だった事に読者は一本取られ、さらには受賞の決め手になったと思います。
そこからは第一章の後日談のようなものでした。中でも第二、三章はとても読み応えがありました。いじめが起きたクラスを淡々と描写する少女と、息子を愛していながら徐々に壊れていく母親の心理描写は目を見張るものがありました。読む手が止まらず、どんどん先に進んでいきます。この時点でのおすすめ度は二人合わせて中の上、といった所でしょうか。
しかし、問題はその後です。直樹の心情描写は正直いらなかったと個人的には思います。彼がどうやって事故を起こしたのかまでは読み応えがありましたが、後半の森口に復讐されたところからは、第三章で読み取った内容だったので重ね塗り感が否めませんでした。もう少し、短めでよかったように思います。
さらに、第五章の修哉の回想は直樹のものと被っているだけあって、さらに読み応えのないものでした。第六章の流れにするために仕方のないことかもしれませんが、何かうまい具合にできなかったものか……。情景描写や展開は一緒なのだから、直樹と違う心情の方にもう少し焦点を当てるべきだったかもしれません。
それにしても、この作品が中の中になったのは実はいい意味からなのです。この物語に描かれている人物は、みなどこか欠落していて狂っている。だからこそ、奥が見えなくて惹き込まれてしまいました。そこがかなり大きなポイントになっています。やはり、登場人物の魅力は大事なのだと再認しました。
唯一、心残りなのは作者が彼らのことを一歩引いて見ているからか、一人称のはずなのに本当に狂っているようには感じなかったこと。けれども、それが僕らをサイコパスにさせるあと一歩を押し留めているようにも感じました。どちらがいいかは分かりません。多分、結果は十人十色でしょう。
さて、こんなものでしょうか。ちなみに、権兵衛はこの作品に対して下の上をつけていました。理由は「HIVがどのような病気か調べればいいじゃん。検査を受ければ簡単でしょ?」、「なんで女の子を殺しちゃうのかな〜。マザコンならちゃんと■■■■■■■■しないと」と、こんな感じで放送禁止用語まで使いだしたので一旦ブロックしました。この後にでも解除しようと思います。
さて、次も同じくらいのペースになりますかね。久々に本が読める時間が取れて嬉しい限りです。
それじゃ。