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【読書感想文】浅田次郎「椿山課長の七日間」(ネタバレあり)

寒いと思ったら暖かくなって、暖かくなったと思ったら寒くなる。寒暖差の激しい今日この頃です。みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
元来、寒がりな僕は早速コタツを設置しました。いやはや、やつの魔力は恐ろしい。一度掴んだ獲物は決して放そうとしませんから。掴まれたが最後、二度寝は確定でございます。一度掴んだら離さないといえば、最近買ったマットレスもそうですね。低反発で、彼女曰く「全生命エネルギーを吸い取られる」そうです。いま、我が家には魔力吸引器が二台もある恐ろしい空間と化しています。今冬は生き残れるのでしょうか。
おや、つい興がのって書きすぎてしまいました。さて、口調もいつも通りに戻して、行ってみましょう!

あらすじ:働き盛りの46歳で突然死した椿山和昭は、家族に別れを告げるために、美女の肉体を借りて七日間だけ“現世”に舞い戻った!親子の絆、捧げ尽くす無償の愛、人と人との縁など、「死後の世界」を涙と笑いで描いて、朝日新聞夕刊連載中から大反響を呼んだ感動巨編。

おすすめ度:上の下(浅田次郎オンパレード!)

浅田次郎さんの作品はいくつか読んだことがあります。本来、シリアスな展開のはずなのにとてもコミカルに、それでいて悲しむ読者を一緒に慰めてくれるような文体が評価されている作家だと認識しています。特に、初めて彼の小説を読んだときは「小説ってここまで笑えていいんだ」と思わしてくれた印象深い作家です。
今回、久しぶりに彼の本を手に取りました。と言っても発行されたのは2000年代。僕がまだハイハイしていた頃のことです。

「死後の世界」と言う、一見厳かで神聖な世界をSACと呼ばれる役所風の施設に改造して、これまたお役所業務を体現したかのような単純作業で死者を天国へ行くか地獄へ行くか捌いていく。と言ってもほとんどの人は罪を認めて「反省ボタン」を押せば天国に行けるという、優しい世界。こんなに凝った死後の世界もまだ序の口。現世に後悔がある主人公の椿山課長が現世に戻ったところから、一気に読者は物語に惹きつけられます。
なんと最愛の妻と直属の部下が不倫関係にあったのです! しかも妻との間にできた一人息子はどうやら自分の子供ではなく、彼との子供らしい。裏切られた椿山は傷心して落ち込むも、長年自分のことを想っていた同僚の女性の話を聞いて覚悟を決めました。その決断に「愛」とはなんなのか、「孤独」とはなんなのか、とても考えさせられます。

その他にも、暴力団の組長や幼い子供などが現世に戻ってあれやこれやをしますが、それは読んでのお楽しみ。たぶん、全部のストーリーを語ってもなお、読みたくなる作品ですね。そこは、作家・浅田次郎の実力が表れていると思います。

最後の方になると、「おい浅田、お前が語っているだろう」みたいな箇所も出てきました。露骨に朝日新聞を立ててくるのは、朝日新聞で連載をしているからでしょう。そんな、制作の裏側まで堪能することができる作品はそうそうないと思います。

権兵衛もとても満足していました。けど彼曰く「まだ驚きはしなかった」ということだったので「上の下」にしました。確かに、文芸初心者には長すぎてお勧めはできないかもしれません。けど、中堅者なら読んで損はない作品だと思います。

さて僕事ですが、間も無くTwitterのフォロワーが1000人を突破しようとしています! めでたいですね〜。そこで、権兵衛と2人で与えられたテーマで議論を行い、その模様を週一で連載しようと思います。そのテーマを皆さんから募集したいと思い、ツイートしました。詳細は下記リンクをみてください。まあ、来なくても1000人フォロワーが行ったら適当にテーマを選んでやりますけどね笑

それじゃ、また!
あっ、次回はちょっと空きそうです。文庫本3冊分の小説なので、1ヶ月後くらいですかね。皆さん、お達者で〜。

テーマ募集ツイート
https://twitter.com/NanashinoPro/status/1315630692248686592?s=20

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