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【読書感想文】筒井康隆「富豪刑事」(ネタバレあり)

どうも名無之です。昨日更新しようかなと思っていたら、夜に時間がなくなってしまい今日になりました。とは言っても誰も待っていないと思うので、のんびり更新していこうかなと思います。

さて、今日の本はアニメ好きの人なら少なからず知っているタイトルだと思います。SixTONESのOPの一番最初に原作「筒井康隆」という言葉を見ると、なかなか迫力を感じますよね。
今回はアニメの原作でもあるこの小説を、アニメと対比させながら紹介していこうと思います。
それじゃ行ってみよう!

あらすじ:キャデラックを乗り廻し、最高のハバナの葉巻をくゆらせた“富豪刑事”こと神戸大助が、迷宮入り寸前の五億円強奪事件を、密室殺人事件を、誘拐事件を…次々と解決してゆく。金を湯水のように使って。靴底をすり減らして聞き込みに歩く“刑事もの”の常識を逆転し、この世で万能の金の魔力を巧みに使ったさまざまなトリックを構成。SFの鬼才がまったく新しいミステリーに挑戦した傑作。

おすすめ度:上の下(文芸というよりもはやライトノベル)

筒井康隆という名前を知らない人は少ないんじゃないでしょうか? SF作家で、様々な事象に積極的に挑戦してる作家として知られています。
特にここ最近でブームになったのが「口紅に残像を」という小説でしょう。音が一音ずつ減っていく世界をとても線形的に書かれていて、この小説で論文がひとつ出ているくらいです。

そんな彼が描いた推理小説「富豪刑事」。大金持ちの刑事・神戸大助が自身の財力にものを言わせて事件を解決していく方法は、この小説が発売された当初もそこまで珍しいものではなかったそうです。そこらへんは本書の解説に譲ろうと思います。

しかし、トリックといい言葉遣いといい、場面転換といい、全てが筒井ワールドで作られた本書はとても読み応えがありました。僕も読んでる途中で吹き出してしまったのは何回やら。特に神戸のお父さん、神戸喜久右衛門のキャラがすごい好きでした。息子が事件解決のために自身の財産を使うと申し出ると、おいおいと泣き始めてそのままむせてしまう。それを短編四つ全てでやり切ったわけですから、最後の方はほら来たと一発芸を楽しみにしてるような感覚がしました。
そして何より読みやすい! 情景描写などの無駄な描写はとことん排除して、物語を淡々と進めていく手法で、気を楽にページをめくることができました。もし、ラノベ大好きで文芸にも挑戦してみたい人は、この小説はかなりおすすめです。もしかしたら、発表当時はなかったラノベの先駆的存在かもしれません。
ただ、おすすめする理由としては「面白い・笑えるから」という一点のみで、本当は上の中にしたかったんですけど、権兵衛が首を横に振ったのでおすすめ度を「上の下」にしました。それでも十分、面白い小説のひとつです。

さて、先ほど書いた内容から類推した人もいるかもしれませんが、アニメ原作となったこの「富豪刑事」は、アニメ本編とは全く関係がありません。アニメで引き継がれているのは主人公の神戸(性格も原作に比べてかなりガサツになっています)と、秘書の鈴江だけで、それ以外はシナリオも登場人物も全て総入れ替えになっています。個人的には喜久右衛門に出て欲しかったのですが笑
しかし、だからと言って「なんだよ、原作通りじゃねえじゃねえのか、つまんねえの」と切るにはまだ早いです。アニメの富豪刑事はまさに令和にあった富豪刑事というべく、AIやハイテクを使いこなす神戸に必見です。そして、ここ最近の話で物語の大きな流れが見えてきました。これにはなんでも金で解決する神戸も一苦労しそうです。

アニメと対比しながら読むのも今だからこそできる「富豪刑事」の楽しみの一つかもしれませんね。
では、今日はここらへんで終わりにしたいと思います。
次回も一週間後くらいにお会いしましょう。
それじゃ、また!

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