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【読書感想文】スティーヴン・キング「ゴーサム・カフェで昼食を」(ネタバレあり)

名無之権兵衛のTwitterを始めるべきか悩んでいます。権兵衛は文字通り名無しの僕らがやったところで、大した知名度アップに繋がらないからやめとけと言いますが、現状は覧の通り閑古鳥のなく作品ばかり。Twitterやってるとなんかいいことってありますか? もしやってる人がいたら教えてください。

さて、みていきましょう。今日もキング週間第四回で「ゴーサム・カフェで昼食を」を紹介します。

あらすじ:サラリーマンのスティーブはある日、藪から棒に妻ダイアンから別れ話を切り出される。その二日後には彼の弁護士のフンボルトから法定手続きの相談をしたいため、昼食会を開こうと提案される。スティーブも弁護士を立てて昼食会に出席しようとするが、当日になって弁護士の母親が故郷で腰を悪くしたため看病に行かなくてはならなくなった。仕方なくスティーブは単身で昼食会の会場である「ゴーサム・カフェ」に行くのだが、そこで予想もしない惨事に見舞われる。

おすすめ度:中の上(なぜ給仕は気が狂ってしまったのか?)

さて、何から書けばいいやら、、、それほどこの作品は短編であるにも関わらず様々な出来事がおきます。まず、スティーブたちが遭遇した惨事について話しましょうか。「ゴーサム・カフェ」には一人の痩せた給仕がいました。彼は何か幻覚をみているのか、スティーブが犬を連れてきたと連呼します。この時スティーブは迫りくる前妻との接見に緊張して気にしませんでしたが、その見えない犬が引き金となります。
散々犬を店に入れるなと言ったのに入ってくることで、給仕は頭がおかしくなって刃物を持って客を斬りつけようとします。しかも、なぜか無差別ではなくスティーブたちを執拗に殺そうとしてきます。その際の残虐なシーンはさすがキングというべきか、とても細かく描写されていました。僕らも彼の描写を参考にして残酷シーンを書くよう心がけています。
彼がなぜ幻覚を見るようになって、そこから執拗にスティーブたちを襲うのか。明確な理由は語られていません。もしかしたら、という理由はなんとなく分かるのですが、それは実際に読んで確かめてみてください。きっと「きいいいいいい」と言いたくなります。
ホラーの面白いところは、肝心のところが語られないところです。そうすることで、人間は「わからない」という理性的生物にはあってはならない矛盾を抱え込むわけです。それが恐怖という感情を生み出して、読み終わった後に余韻を残すのです。と、どこかの誰かが言っていました。

二つ目はなんと言っても妻ダイアンの言動でしょう。給仕から逃げるために厨房に逃げ込んだスティーブたちですが、非常口の前で引くに引けない状態に陥ってしまいます。スティーブは非常口のドアを開けてくれと彼女に急かすのですが、彼女は一向にそれをしません。むしろ、給仕を倒せと言わんばかりにスティーブの尻を蹴ったんです。全ての女性みんなが必ずしもこういった態度をとるとは限りませんが、女性というのはどうしてこう身勝手なんでしょうね。おそらく彼女は僕らがこの短編集で一番イライラしたキャラクターです。そこは権兵衛と気が合いました。なんだかんだ彼と僕は感性が似ているようです。

この物語の中核を占めるのは間違いなく、ゴーサム・カフェでの惨事でしょう。しかし、それと引けをとらないくらいにスティーブとダイアンの痴話喧嘩が際立っていました。お互いのことを愛しているから結婚したはずなのに、いつの間にか嫌いになってしまう。こんなよくある痴話喧嘩の次元を二つ三つ飛び越した二人の的外れな主張のぶつかり合いは読んでて眉を潜めたくなりました。フンボルトはなんなんでしょう。多分おまけみたいなものです。

ちなみに解説でキングはこの小説を思いついたのは、ホテルの前を通りかかった時にホテルの中でカップルが痴話喧嘩をしてたことからだそうです。その際に、彼らを案内していた給仕係がキングに向かってウインクしたそう。なんとも不思議なエピソードですが、これから「ゴーサム・カフェで昼食を」は生まれたというんですから、口論してたカップルには感謝しないといけませんね。

この通り、一つの物語からかなり広いことが書けます。おそらく並の作家であればこんな深い物語は書けないでしょう。いや〜、僕らも作品が受賞しねえとかブツクサ言ってないで精進しないと。

今日はここら辺にしようと思います。
今朝、短編を公開しました。若い男女の純愛短編小説になっています。権兵衛曰くRakeのあの曲を聞いたらふと書きたくなったそうです。
そして、「1+1=3の世界、、、(略)」も更新しています。よろしくお願いします。

それじゃ、また。

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