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【読書感想文】スティーヴン・キング「何もかもが究極的」(ネタバレあり)

どうも、名無之です。かなり久しぶりの投稿になりますね。ここ最近、生活リズムが崩れまくって読書がまともにできなかったもので、ようやく読み終わることができました。
さて、今回はモダンホラーの巨匠スティーヴン・キングの小説です。この小説は「幸運の25セント硬貨 Everything's Eventual II」という短編集に収録されています。この短編には7つの短編が収録されており、ここから一週間はキング・ウィークということで、これらの短編を語っていきたいと思います。
本当は一回にまとめようかと思ったのですが、権兵衛が「文章をかく練習になるから、別々にわけろ」と言ったのでそうすることにします。その分、彼も僕も一つの短編でつらつら考察しなければいけないのですが。

ほら、こうして今も字数を稼いでる訳です。

さあ、行って見ましょう!

あらすじ:どこにでもいる少年ディンキーはある能力に目覚める。その能力に目をつけたミスター・シャープトンは彼のことを勧誘し、とても不思議な就職先を紹介する。それはずっと家にいるだけでよく、毎週70ドルが送られて来て、しかも使用人が掃除してくれるし、好きなものも買ってくれる。この生活の中で、ディンキーは自分の能力を使って「仕事」をするのだが、、、

おすすめ度:中の上

いわゆる「超能力もの」です。ネタバレありと書いてあるので、ぶっちゃけて言うと、彼の能力は「謎(これは本当に謎だった。サンコファイト?)の単語や図形を描いた手紙を相手に送ると、相手は自分が思ったように行動してしまう」というものです。正確にそう書かれていませんが、おそらくこんな感じだろうと解釈しました。これだけでも十分面白そうな匂いがぷんぷんしますね。

しかし、その能力がかなり危険なことは皆さんも承知のことと思います。例えば、メールアドレスだけ知ってる見ず知らずの人間に「死んでくれ」というメッセージのこもった手紙を送れば彼は死んでしまうからです。実際、それに気づいた時、ディンキーはかなり苦しみます。もうやめてしまいたい。けど、それを言い出したら今度は自分が「掃除」されてしまう。その狭間で苦悶しながら、日々を過ごします。そして、最終的にとった彼の行動は思わず笑ってしまいたくなるようなものでした。

キングの小説で一人称視点の小説はこれが初めてでした。若い教養のない人間が語り手というだけあってとてもコミカルで楽しく読むことができました。ただ、個人的にはキングはもっと書ける(誰目線だ!)と思ったため中の上にしました。

彼はこの物語の解説に、下水管の格子蓋に次々と小銭を突っ込んでるイメージから書き始めたと記しています。どうやったらそんなイメージが出てくるんだと笑ってしまいそうですが、その後の記述が興味深い。
「物語とは、われわれが作りだす(そして、その作者だと主張できる)ものではなく、すでに存在する遺物であり、こちらはそれを掘りおこしているだけなのだ」

いわゆる、物語は人工遺物であるというキングの持論で、この物語でもそれが証明されたとも書かれています。なるほど。物語はすでに存在しているという考え方は権兵衛も近い考えを持っていました。彼の考える作品は予めそうであることが決まっていて、あとはその物語を通じて作者が何を伝えたいのか、どういう文体で紡いでいくのかが作品の良し悪しを決めるそうです。
まあ、そう考えると彼の作品(「七不思議探し」「最終章から始まる鎮魂歌」)はどことない未知のエネルギーを感じます。一方で僕が提案している作品で彼も物語を作ってくれるんですけど(特に今書いている作品がそうです)、いくら設定を練り込んでもしっくり来ていませんでした。となると、どうやら彼が物語を見つけられなかった残骸を僕らは書いているみたいですね。こればかりは経験の差でしょうか。

なんか自分たちの創作態度を改めて見直すいい言葉だなと思いました。これを励みにこれからもがんばっていこうと思います!

その他にもキングについては色々語りたいのですが、それは最後の「幸運の25セント硬貨」でしたいと思います。そうじゃないと、すぐネタ切れになっちゃうから。

それじゃ、また!

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