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【読書感想文】トマス・H・クック「石のささやき」(ネタバレあり)

どうも、名無之です。今日の僕は異様にテンションが高いです。青空ひかりの新作が出るからではなく、このコーナー始まって以来、初めての「上」が出たからです。これに関しては僕は本当に頑張った。ありがとう、ありがとう。投票用紙には「名無之」とご記入ください。
はい、そんな茶番はほっといて、さっさと見てみましょう。

あらすじ:姉が壊れはじめたのは、幼い息子を亡くしてからだった。すべてが取り返しのつかない悲劇で幕を下ろしたあと、私は刑事を前に顛末を語りはじめる…。破滅の予兆をはらみながら静かに語られる一人の女性の悲劇。やがて明かされる衝撃の真相。人の心のもろさと悲しみを、名手が繊細に痛切に描き出した傑作。

おすすめ度:上の下

あらすじに書かれているとおり、この作品(おそらく作者の作品全般がそうだと思うのですが)は心情の書き方が本当に繊細でした。少し前に宮廷書官の推理っぽい小説を紹介(?)しましたが、あれと違って、ゆっくりではあるけど確実に物語が進んでいるのが分かりました。
特に主人公の姉が周囲を味方に引き込んで、復讐を始めるように見せといて、実は主人公自身も壊れ始めていた、という裏の裏まで綿密に練られたストーリーは脱帽しました。それでいてミステリーとしてもしっかり作られています。姉の犯行にみせかけて、物事を自分の思い通りに進める主人公こそ、まさに彼が恨んだ父親のようでした。
ただ、そのミステリーは権兵衛にはあまり衝撃的なものではないらしく、建設的な議論の末、「上の下」とすることになりました。

このコーナーの最初の方で書いた通り、「上」の作品は僕らがおすすめしたいと思えるレベルの作品なのですが、これに関しては表現やテーマが難解ということもあって、おすすめする人を選びそうです。
普段から活字に慣れ親しんでいる人以外が読むと、何を言ってるのかよくわからない残念な作品になってしまうでしょう。

その一つとして上げられるのが、所々で入ってくる「現在」の描写です。ここでは一人称を「お前」として話を進めて行くんですが、これがしっかり理解できないと、物語に置いていかれると思います。ちなみに、なぜ一人称を「お前」で書いてるのか、その理由と思われる箇所が明確ではないにせよ前半に書かれています。ですので、試しに前半まで読んでみて分からなければ投げてもいいかもしれません。

というわけで、「石のささやき」について書いてみましたが、いかがでしたでしょうか。実は、ネタバレしておきながらこの作品の本質については書いていません。書いてもいいのですが、かなり時間がかかるのでやめておきました。もし、気になる方がいましたら、ご自身の目で読んでみてください。

そして宣伝になるのですが、この前「1+1=3の世界に転生したら〜ある数学者の回顧録〜」の連載を始めました。今までの異世界ものに終止符を打てるような内容になっていると思いますし、もちろん僕らも一切の隙がないようにここ二ヶ月理論を組み立ててきました。ぜひ、読んでください。下にリンクを貼っておりますね。

それじゃ、また。

「1+1=3の世界に転生したら〜ある数学者の回顧録〜」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054897971772

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