• 現代ドラマ
  • 現代ファンタジー

【読書感想文】村上春樹「騎士団長殺し」(ネタバレあり)

どうも名無之です。昨日に引き続いて読書感想文を更新していきます。今回は村上春樹の「騎士団長殺し」です。彼の長編最新作、と言っても三年も前なんですね。これが発売された当時、新宿紀伊國屋の正面玄関にこの本の装丁にある剣がデカデカとポスターとして張り出されていた事を今でも覚えています。そんな僕、名無之ですが実は彼の作品を読むのはこれが初めて何です。一昔前に彼が翻訳したチャンドラーの小説を読んだ事がありますが、村上春樹との接点はそれくらいです。どうか、それを承知で読み進めてください。

あらすじ:妻との離婚話から自宅を離れ、友人の父親である日本画家のアトリエに借り暮らしすることになった肖像画家の「私」は、アトリエの屋根裏で『騎士団長殺し』というタイトルの日本画を発見する。そこから「私」はさまざまな事象が連鎖する不思議な出来事へと巻き込まれてゆく。

おすすめ度:中の上

全体としてはすごく面白く読めました。昔から変わらずにとても読みやすい文体と、読者を引きつける設定と展開。読者がそろそろ飽き始めたところで新しい展開をいれる。まさにエンタメ小説に通じるものがありました。
最初の顔なしが肖像画を書く事を要求する、という現実と解離した入りから、彼に風貌がよく似た免色という人物の接触、そして騎士団長の出現。第二部に入ってからは寡黙な女子中学生を中心に据えて物語が進行しているようで、「私」と彼女との微妙な関係はどうなるのか、とても読み応えがありました。

一方で、最後の方はとてもグダグダしてたかな、と感じました。行方不明になったその女子中学生を探すために有と無の狭間の世界に行く「私」。けど、結局彼女は見つからず、穴の中に閉じ込められて鈴を鳴らして助けられる、というよく分からない展開に。そんな中、彼女は現実の世界の人目につきづらいところに隠れていただけ。あれ? 「私」が有と無の狭間の世界に行く必要性はどこにあったのだろう、と疑問に思ってしまいました。(確かにそこには重要な意味があるかもしれないけど、わざわざ現実世界にいる一人の少女を探すために、そこまで必要か、と権兵衛も首を傾げていました)
これがなければ断然「上」に食い込んでたかもしれません。

いや、でもやっぱり難しいかな。何せセックスの描写が多すぎたんだもん。これは完全に個人の趣味になりますけど、僕としては不必要に性行為の描写を入れないで欲しいんです。まだ若いというのもあって、そこばかり意識しちゃって物語の肝心なところに触れられないような気がするんです。だから、やっぱりこの作品は「中の上」ですね。

さて、このシリーズ始まってからもう7作目ですが、未だに「上」が出てきません。おいおい、自分の作品が一番だと思ってるからあえて良作の評価を下げてるんじゃないのか、と思う方もいるかもしれませんが、はっきり言ってそんな事は一切ありません。
そもそも、僕らが「上」の部類に入れる基準としては、僕らがその作品を見終わった(もしくは読み終わった)ときに、「ああー、いいもの読めた(見れた)」と思ったときです。僕なんかは腰振る女の子に諭吉を渡してしまうくらい軽率な人物ですが、権兵衛の方は西郷どんもびっくりの堅物なため、よほどの事がないと「上」を出しません。
なので、最初の説明に書いてある「上の下」あたりは権兵衛にとっては「中」の部類なんです。そこを僕が何とか「上」に上げているだけで、彼が本当に良作だと思ってる作品は「上の上」含めて数作しか今までありません。
なので、この「読書感想文」は基本的に「中」が主流だと思ってください。そこを僕が頑張って「上」に持っていくので、皆さんも名無之の応援をよろしくお願いします。

あ、三三七拍子ありがとうございます。

それじゃあ、今回はこのくらいで終わりにしようと思います。次からは普通の文庫本を読んでいくので、一週間後になると思います。

それじゃ、また。

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する