自己啓発なネット記事を読んでいたら、「評価されにくい職場」の改善例に「成果を視覚化」みたいに書いてあった。
そこで思い出したのが、アリ地獄のようだった以前の職場だ。
以前の職場は、一桁に至るまで社員の数字が張り出され、なんなら稼働時間、ミスの数まで張り出される現場だった。
当然、小学生並みの暗算である程度の他人や自分の仕事ぶりを把握できるわけだ。
ところで私は、数年前まで喘息が悪化して二年前くらいからドクターストップがかかっている状態だった。喘息を知らない人は「大げさなw」という反応だが、重度の喘息を知る医療関係者は反応が違う。
酷いと激コミでも最優先に診察の順番が回って来ていた。当然だ。喘息=呼吸できない。急変したら人生が10分持つかどうか……それが喘息だ。
ついでだから、喘息の詳しい説明をしよう。
喘息は咳ではなく、気管支が鼻水みたいな何かで詰まる状態だ。
ようは、ロープで首を吊ってどのくらい生きていられるか……顔を水中に突っ込まれてどのくらい生きていられるか……それと変わらない状況が喘息だ。
溺れかけた人間が何をするか? 必死で呼吸しようとして、咳き込むだろう……そう、テレビや映画でおなじみのこの状態こそが周囲から見た喘息というわけだ。
この状態になったら、救急車で運ばれてのどに穴を開けて鼻水っぽいのを出すのが一般的だと聞いている。
さて、以前の職場の話に戻る。
あの頃の私の睡眠時間は、ブラックと喘息のせいでおそらく10分〜3時間。平均して2時間弱。この状態が三年も続いて、人間がまともでいられるはずがない。
それなのに、あの職場では私以下の成績の人間が半分以上もいた。そして不思議なのは、私を同レベル以下の成績だと思いこんでいるらしい発言の数々……不思議すぎる。
思い出してほしい。
あの職場は、成績を一桁まで張り出すのだ。つまりは、一目瞭然だ。なのに、わかっていない人が多数……割合や仕事量の計算ができない人が……うん。ほぼ全員が計算できないらしかった衝撃。
「成果を視覚化」しても、無意味な職場もあるんである。
あれから「話が通じない」理由を察した私は、即移動希望を出した。結果、似たような苦労はあれども、アリ地獄の終わりを満喫している。